ITエンジニアは、正社員以外にもフリーランスや派遣、副業など様々な雇用形態で働くことが一般的になっている職種です。そして、パソコンとインターネットがあれば仕事ができることから、常駐やフルリモートなど場所を選ばず幅広い働き方が可能になっています。

こういったITエンジニアの幅広い働き方に興味を持ち、どんな働き方ができるのかを知りたい人も多いと思います。

そこでこの記事では、ITエンジニアの働き方を雇用形態や勤務スタイル別に紹介します。働き方ごとの年収や、ITエンジニアだからこそできる自由な働き方についても解説するので参考にしてください。

雇用形態別のエンジニアの働き方

ITエンジニアは、様々な雇用形態で働くことができます。ITエンジニアの職種のひとつであるプログラマーについての2021年のアンケート、「現在のITエンジニア(プログラマー)としての働き方を教えてください」という質問の結果を見ると、雇用形態は以下のようになっています。

正社員 85.9%
契約社員 5.9%
派遣社員 3.1%
フリーランス 2.7%
アルバイト 2.2%

正社員は多く、8割以上となっています。次いで多いのが契約社員であり、その次に派遣社員が続きます。やはり安定した収入を得るために、特定の企業と長期で雇用してもらう形態が多いようです。フリーランスとアルバイトは2%台であり、まだまだ少ないようです。

それぞれの雇用形態におけるITエンジニアの働き方について解説します。

正社員

正社員のITエンジニアは、企業に属しながら、自社のシステムやITサービスに関わったり、SIerやWeb開発などのようなベンダーとして顧客に対してエンジニアリングを提供したりします。

正社員は長期的に企業で働くことが想定されており、大きなプロジェクトを任されることも多いですし、昇進や昇給なども期待できます。正社員では通常、社内のスタッフとチームを組みながらプロジェクトにあたります。上長や関係部署などとのコミュニケーションなども必要となることが多いです。

正社員で雇用されることで、安定した給与が得られますし、保険など福利厚生面でのメリットがあります。

派遣社員・契約社員

派遣社員や契約社員は、決まった期間のなかで働くという雇用形態です。派遣社員や契約社員のITエンジニアの場合には、派遣先や契約先から依頼を受けて、雇用元の企業が行っているプロジェクトに参画し、指示を受けながら業務を行います。

こういった働き方では、業務内容や勤務時間があらかじめ契約で決められており、残業を依頼されたりといったことがないのが特徴です。プロジェクトの一部を担当することが多く、昇給や昇進などは基本的にはありません。

また、保険や福利厚生に関しても正社員とあまり変わらない条件となることが多いです。

フリーランス

フリーランスは業務委託として、個人で仕事を請け負い働く形態です。契約した顧客に対して、顧客の求める業務を行います。プロジェクトの一部を担うこともあれば、責任の大きな部分を依頼されることもあります。

フリーランスのITエンジニアの場合には、社員のように何もしなくても仕事が発生し給与をもらえるわけではなく、自分で契約を獲得しなくてはなりませんが、自分の裁量で収入を大きくすることができます。現在では、フリーランス向けの案件紹介サービスなどもあるので、自分で営業をしなくても仕事を獲得できる場合も多いです。

フリーランスのITエンジニアはフルリモートであることも多いですし、勤務時間の柔軟性も高く、自由な働き方ができる傾向があります。正社員や派遣社員、契約社員のように働いていても、副業などでフリーランスとして働くことも可能です。

アルバイト・パート

ITエンジニアは、アルバイトやパートという働き方もできます。こういった働き方は通常、正社員の補佐など簡単な業務を行う場合が多いです。専門知識やスキルもあまり求められないので、ITエンジニアを目指す学生などを対象にしていることが多いです。

アルバイトやパートの場合には、時間や勤務環境なども自由度が高いですが、時間単位で給与が計算されることになり、時給も他の雇用形態よりも低くなる傾向があります。

働き方別のエンジニアの収入

では、働き方によって収入はどのように異なるのでしょうか。ここでは、ITエンジニアの働き方で大きな収入が見込める正社員とフリーランスの収入を解説します。

ITエンジニアの平均年収

ITエンジニアには様々な職種がありますが、ここでは厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagをもとに、あらゆるITエンジニアにあたる職種の年収を紹介します。これは正社員や契約社員、フリーランス、アルバイトなどすべてを含んだ年収の平均となります。

システムエンジニア(業務用システム) 550.2万円
システムエンジニア(基盤システム) 660.4万円
データエンジニア 534.6万円
組み込みエンジニア 550.2万円
プログラマー 557.6万円

ITエンジニアには様々な職種がありますが、国税庁による「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば日本全国の勤労者の平均年収は458万円なので、ITエンジニアの収入は総じて高いことがわかります。

正社員の平均年収

ITエンジニア全体の年収は全体的に高いことがわかりましたが、正社員の平均年収はどれくらいなのでしょうか。

職種別の4月の平均初年度年収」を見てみると、2022年4月の正社員のITエンジニアの平均年収は555万円となっています。このデータを見ると、調査された職業のなかでITエンジニアはもっとも初年度の年収が高くなっています。

フリーランスの収入

フリーランスのITエンジニアの収入はどうでしょうか。2024年の「職種別・言語別の月額報酬ランキング」調査(フリーランスエンジニア)を見てみると、以下のような年収となりました。

CTO/VPoE/テックリード 989,723円
プロジェクトマネージャー 862,002円
インフラエンジニア/SRE 818,252円
iOSエンジニア 810,447円
データサイエンティスト 809,044円
プロジェクトリーダー 805,997円
Androidエンジニア 802,914円
フロントエンドエンジニア 753,195円
サーバーサイドエンジニア 739,689円
ゲームプログラマ/ゲームエンジンプログラマ 721,649円
Webデザイナー/ディレクター 652,080円
QA・テストエンジニア 526,182円

これを見ると、フリーランスのITエンジニアの職種によって大きく収入が異なることがわかります。そして、マネジメント系の職種やインフラエンジニア、iOSエンジニア、データサイエンティスト、Androidエンジニアなどは月額で80万円以上と、収入が高いことがわかります。

勤務スタイル別のエンジニアの働き方

ここまではITエンジニアの雇用形態別で見てきましたが、ITエンジニアは職場勤務やフレックスタイム、リモートワークなどの勤務スタイルでも働き方を分けられます。それぞれの働き方の特徴、メリット、デメリットなどを紹介します。

職場勤務

職場勤務は職場に出社して働くスタイルです。職場に席やPCなどの業務環境が用意されており、そこで仕事をします。職場勤務は、正社員や派遣社員、契約社員などに多いです。

職場勤務では、オフィスのメンバーとすぐにコミュニケーションを取れるのがメリットです。チームで細かな連携が必要な仕事においては職場勤務がよいでしょう。ただし、職場までの移動が必要であったり、仕事中の思わぬタイミングで声をかけられたり集中が途切れる可能性があるのがデメリットといえます。

職場勤務では、固定時間制以外にも変形労働時間制やフレックスタイム制など、柔軟な働き方ができる環境も増えています。

常駐

常駐とは所属している企業の指示によって、指定された期間を顧客企業内で業務をするという働き方です。ITエンジニアにおいて、常駐はSIerなどシステム構築で顧客企業の環境に合わせて作業をする必要がある場合に、この形態が取られることが多いです。

常駐は顧客との関係が築きやすい、臨機応変な対応が可能などのメリットがあります。ただ顧客内で業務を行うので人間関係に対してストレスを感じてしまう可能性があります。

常駐においても、固定時間制だけでなく変形労働時間制やフレックスタイム制が導入されている場合も多いです。

リモートワーク

リモートワークは、職場に出社せずに業務を行うという働き方です。これはITエンジニアに多く見られる働き方です。週1回または数回出社など、職場勤務と併用している企業もあるようです。

リモートワークには、出社するための時間や労力がかからない、電話や周囲の音や話しかけられることで集中できないという事態を避けられるというメリットがあります。また、出社までの時間を減らせるので、時間を有効に使え、ワークライフバランスを実現しやすいといえるでしょう。

ただ、メンバーと気軽にコミュニケーションを取れないというデメリットがあります。変形労働時間制やみなし労働制なども取り入れられることが多い働き方です。

エンジニアのフルリモートという働き方

ITエンジニアにおいては、フルリモートという働き方が増えてきています。

フルリモートで働いている人の割合

まず、フルリモートで働いているITエンジニアはどれくらいいるのでしょうか。

企業に勤めるエンジニア537名に調査したアンケートでは、フルリモートで働いている人は14.2%でした。そして、41.3%の人が週5日出社していました。

フルリモートで働いている割合が最も多いのは20代で、15.9%がフルリモートでした。これは正社員のみのデータなので、派遣社員やフリーランスを含めるともっと多くの人がフルリモートで働いていると考えられます。

年代が下がるごとにその割合が増えていることから、フルリモートは今後も増えていくでしょう。

フルリモートの満足度

上のアンケートの「出社頻度による働き方満足度」を見ると、フルリモートは「非常に満足している」の割合が38.2%、「やや満足している」が46.1%であり、84.3%が好意的な評価をしていることがわかります。

「非常に満足している」の割合はすべての働き方のなかで最も高いですし、80.3%が転職を検討していないという結果になりました。企業としても、社員の退職を防ぐためにフルリモートを導入していくかもしれません。

ITエンジニアでフルリモートを希望する人は転職を検討するのもよいかもしれません。

エンジニアだからこそできる自由な働き方

ITエンジニアは、他の職種よりもリモートなど様々な働き方ができる職種です。ここでは、ITエンジニアだからこそできる自由な働き方を紹介します。

掛け持ちで仕事ができる

ITエンジニアは掛け持ちで仕事をすることができます。

ITエンジニアという職種は、自身のスキルで仕事をすることができます。他の仕事のように設備や場所などは必要なく、PCさえあれば仕事ができます。ですので、企業に勤めている場合でも、他の仕事を身ひとつで行うことができます。

また、エンジニアの仕事以外の時間に、別の仕事を掛け持つことも可能です。掛け持ちで仕事をすることで収入を増やせますし、様々な経験を積むことができるでしょう。

好きな場所で仕事ができる

ITエンジニアは、好きな場所で仕事ができるというメリットがあります。ITエンジニアはパソコンとインターネットがあれば仕事ができるので、住む場所や仕事をする場所を選ばないのです。

都会が合わない人は地方で仕事をしてもいいですし、都会で働きたい人は都会で働くことができるでしょう。また、フリーランスやリモートワークの仕事であれば、カフェやシェアオフィスなど、好きな場所で働くことができます。

好きな場所で仕事ができるので、ライフイベントや家庭の事情などに合わせて働くことができるでしょう。

海外で働く

ITエンジニアは海外で働くことができます。ITエンジニアの仕事はプログラミング言語で行うので、どの国でも行う業務は同じです。日本で身につけたエンジニアの知識とスキルが活かせます。

外国語でのコミュニケーションは必要になりますが、外国語を話せる人は海外で働きやすいでしょう。

また、税金や生活費の安い国で暮らしながら働くなども可能です。海外で暮らしながら日本の企業から仕事を受けるということもできます。

エンジニアの様々な職種

ITエンジニアには様々な職種があり、それぞれで働き方なども異なります。ここでは、ITエンジニアの主な職種を紹介します。

  • システムエンジニア
  • Webエンジニア
  • 組み込みエンジニア
  • プログラマー
  • サーバーエンジニア
  • データベースエンジニア
  • ネットワークエンジニア
  • セキュリティエンジニア
  • クラウドエンジニア

これらのITエンジニアの多くは、企業内で働く際にはチームで仕事をすることが多いです。

サーバーエンジニアやデータベースエンジニア、ネットワークエンジニアなどは、サーバーやネットワーク機器、OSなどの設定・運用・保守を行わなくてはならず、企業に出向いて仕事をする場合があります。

また、それぞれの仕事において、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーなどの上流の職種もあります。

ITエンジニアの職種やそれぞれの仕事内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

ITエンジニアとは?仕事内容、年収、キャリアアップの方法まで解説!

エンジニアの目指し方

ITエンジニアは自由な働き方ができますし、年収も高い傾向のある仕事です。ITエンジニアは未経験でも目指すことはできます。ここではITエンジニアになるための方法を解説します。

独学で学ぶ

独学で勉強をすることで、ITエンジニアを目指すことができます。

独学では、まずはプログラミングから始め、エンジニアリングを学びます。独学では自分ですべて調べなくてはならないので、知識やスキルを身につけるのに時間がかかります。また、課題に当たった時に自分で解決しなくてはならないので、難易度が高いかもしれません。

独学では基礎的なところから学ぶことになるので、まずはWebエンジニアやシステムエンジニアなどを目指すことが多いです。

学校に通う

学校に通うのもITエンジニアを目指す方法のひとつです。専門学校やプログラミングスクール、大学など、エンジニアリングを学べる学校は多くあります。

こういった学校では、未経験でもイチからプログラミングなどエンジニアの基礎を学ぶことができます。不明点があってもすぐに質問ができ、効率よく学ぶことができます。ただし、現場の業務で働けるまでのレベルのことを学ぶことは難しいでしょう。

こういった学校に通うには、一定の期間と費用が必要になります。

企業で働く

企業で働くというのも、ITエンジニアを目指す方法のひとつです。

未経験可のITエンジニアの求人がありますし、こういった企業では未経験者を育成するために研修を行っていることがあります。もちろん、初めは基礎だけを行うなどにはなりますが、現場で業務を行いながら学べますし、実践的なスキルを身につけることができます。

給与をもらいながらスキルを身につけることができるというのもメリットといえるでしょう。

ITエンジニアとして働きたいという人は、未経験可の企業への就職・転職も考えてみるのがよいでしょう。

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