半導体エンジニアは、現在需要が高まっている仕事です。

SEMIジャパンの発表によると、半導体市場は2024年と2025年にはいずれも2桁台の成長が予測され、2030年には市場規模は1兆米ドルにまで達すると見込まれています。半導体の市場の成長に従い、半導体の開発や設計などを行う半導体エンジニアへのニーズも高まっています。

しかし、半導体エンジニアの具体的な仕事内容や、半導体エンジニアを目指すにはどうすればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、あらゆるエンジニアのキャリアアップの支援を行っているベスキャリが、半導体エンジニアの仕事や将来性、必要なスキルなどについて紹介します。

半導体エンジニアは、現在需要が高まっている仕事です。

SEMIジャパンの発表によると、半導体市場は2024年と2025年にはいずれも2桁台の成長が予測され、2030年には市場規模は1兆米ドルにまで達すると見込まれています。

半導体の市場の成長に従い、半導体の開発や設計などを行う半導体エンジニアへのニーズも高まっています。しかし、半導体エンジニアの具体的な仕事内容や、半導体エンジニアを目指すにはどうすればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、あらゆるエンジニアのキャリアアップの支援を行っているベスキャリが、半導体エンジニアの仕事や将来性、必要なスキルなどについて紹介します。

半導体エンジニアとは

半導体エンジニアとは、半導体の設計から製造に至る一連のプロセスに関わるエンジニアのことです。

もともと半導体は、電気を通す導体と絶縁体の中間の性質を持つ材料・物質のことでしたが、現在「半導体」というときには、半導体物質を用いた電子部品である「半導体集積回路」のことを指すのが一般的です。この半導体はスマートフォン、コンピューター、テレビ、冷蔵庫、自動車など、私たちの身の回りにあるさまざまな電子機器に使われます。

半導体エンジニアは、製品が必要な機能を発揮できるよう半導体の設計を行うほか、半導体の製造に必要な加工技術や製造装置の開発、維持管理、性能向上など、半導体の製造の全般を担っています。

ちなみに、ここではエンジニアとは「半導体エンジニア」のことを指していますが、ITエンジニアや建設エンジニアなどの、エンジニア一般については以下の記事でまとめています。

エンジニアとは?メリット、必要な知識・スキル、適性を解説!

半導体エンジニアの年収相場

半導体エンジニアの年収はどれくらいの相場なのでしょうか。

厚生労働省の「職業情報提供サイトjobtag」によれば、半導体エンジニアの平均年収は644.5万円となっています。

国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本全国の勤労者の平均年収は458万円であり、これと比較すると半導体エンジニアは高年収であるといえるでしょう。

また、「所定内給与額別の人数割合」を見ると、40.0~44.9万円がもっとも多く、10%以上が40.0~44.9万円の給与を得ていることがわかります。さらに、80万円以上の給与の人も数%存在しており、高額な給与が期待できる仕事であるといえるでしょう。

半導体エンジニアは専門性が高く、人材の需給ギャップが大きいからこそ、こういった年収となっていると考えられます。

半導体エンジニアの種類と仕事内容

半導体エンジニアにはさまざまな職種があります。ここでは、それぞれの職種の主な仕事内容を紹介します。

半導体設計エンジニア

半導体設計エンジニアは、半導体の設計を行うエンジニアです。

半導体の集積回路は、コンピューターのCPUやMPU、メモリなどで使用されます。半導体設計エンジニアは、これらの製品において、どのような処理を半導体が行うのかの仕様の検討を行い、その機能を実現するために半導体チップにどのように素子を組み込むかのレイアウト設計などを行います。設計した半導体が期待通りの動作を行うかの確認、テストも行います。

設計・製造においては、使用できる技術やコスト、耐性、量産体制なども含めて検討する必要があるので、工程における幅広い知識が必要とされる職種です。

半導体プロセスエンジニア

半導体プロセスエンジニアとは、半導体の製造におけるプロセスを最適化するエンジニアです。

半導体の製造工程を設計した上で、設備や装置などに不具合がないかの確認、評価を行います。不具合があれば原因を分析し、必要な条件の変更、工程の見直しなどを行います。よりエラーを減らして多くの半導体を効率よく製造できるように、生産性の向上に取り組む仕事です。

半導体だけでなく半導体を組み込んだ製品のデータ分析を行い、問題を調査し、最適化を行う場合もあります。

半導体デバイスエンジニア

半導体デバイスエンジニアは、半導体が組み込まれたMPUやGPU、CMOSなどのような、半導体が使用された半導体素子(デバイス)の設計・試作・評価・解析などを行うポジションです。

デバイスの特性やスペックを検討し、必要な機能を満たすための技術開発、試作、解析などを行い、量産化の体制構築を行います。

素材や設備、分析に関する知識はもちろんのこと、どのような製品を作れば課題を解決できるのかを考える発想力、要件の洗い出しなどを行う分析力、関係者をまとめ上げてプロジェクトを推進させるリーダーシップや実行力などが必要となります。

半導体テストエンジニア

半導体テストエンジニアとは、その名の通り半導体製造工程で行われるさまざまなテストを行うエンジニアのことです。テストの仕様書作りからテストのためのプログラム開発、テスターを使用してのテストの実行、評価・分析が業務内容となります。

試作や製造を行った半導体が、仕様書通りの性能や機能を発揮できているかの確認を行います。電気信号を流してチェックしたり、高温・高電圧のストレスをかけて耐久性の検証を行ったり、温度や湿度など環境によって生じる変化を計測したりと様々な検証を行います。企業によっては、量産化を行うための製造工程全体の確認も行います。

半導体製品を市場に提供してから不具合が発生すると重大な問題となってしまうので、テストエンジニアは責任が大きく重要な仕事といえるでしょう。

半導体製造装置メンテナンスエンジニア

半導体製造装置メンテナンスエンジニアは、半導体を製造する装置のメンテナンスを行うエンジニアです。

半導体の製造にはマイクロメートルやナノメートルレベルでの作業が必要であり、こういった微細な作業ができる半導体製造装置が利用されます。半導体製造装置は微細な作業を行う精密機器だからこそ、装置の消耗や汚れなどが製品異常の原因となったり、装置にエラーが発生したりといったことにつながってしまいます。

半導体製造装置メンテナンスエンジニアは、こういった装置の異常や装置の故障を防ぐためにメンテナンスを行います。各パーツを取り外しクリーニングを行ったり、故障やトラブル発生時にはその原因を突き止め、修理を行ったりといったことを行います。

半導体製造装置メンテナンスエンジニアの仕事は、半導体の安定的な製造体制を維持していくうえで欠くことができない、生産を支える重要な仕事といえます。

半導体エンジニアに必要なスキル・能力

次に、半導体エンジニアに求められる主なスキルや能力について説明します。

プログラミングスキル

半導体エンジニアにおいて重要なのがプログラミングスキルです。

半導体の設計やシミュレーション、テストにはプログラミングが必要です。半導体に関するこれらの作業において、プログラミングスキルがなければ業務を行うことができません。

プログラミング言語としては、C言語、C#、C++などのスキルが必須といえるでしょう。自身でプログラムを書いて動作させられるようなスキルを身につける必要があります。

また、デジタル回路を記述するために使用するハードウェア記述言語であるVerilog-HDL、VHDLのスキルもあるとよいです。

システム設計のスキル

システム設計のスキルも半導体エンジニアには求められます。

半導体を作る時には、半導体の機能を設計し電子回路で実現するためのロジック設計、実際にパーツを配置して詳細な電子回路の設計を行う回路設計、ICチップのなかのレイアウト設計などを行わなくてはなりません。

システム設計の知識やスキルがなければ最適な半導体を作ることができないので、このようなシステム設計を行うための知識が必要になるのです。

ソフトウェアの操作スキル

ソフトウェアの操作スキルも、半導体エンジニアに求められるスキルです。

半導体製造の過程では、システム設計したものの製図やシミュレーションにCADやCAMが使われます。また、電子設計と半導体の部品の配置やシミュレーションのためにEDAツールなども使用されます。

こういった様々なソフトウェアを使いこなし、より効率よく半導体の製造を進めるスキルが半導体エンジニアには求められるのです。

英語力

英語力も、半導体エンジニアが身につけておいたほうがよいスキルです。

半導体の世界では新しい技術やツールが開発されていますし、高性能化や小型化、省電力化、素子回路などに関する研究論文なども次々と発表されています。これらの最新情報や論文は海外の媒体で発表されることが多いので、最新の技術や開発方法、素材などを取り入れて半導体を作っていくためには、英語力が必要になるのです。

また、サムスン電子やインテルなど海外企業が市場の大きな部分を占めていることからも、海外企業が取引先となることも多いでしょう。そういった海外企業との取引からみても、半導体エンジニアにとって英語力は重要なスキルといえます。

電気工学・電子工学の知識

半導体エンジニアにとって、電気工学・電子工学の知識も重要です。

半導体の設計・製造においては、電子材料に関する知識、光・電子デバイスの集積技術、計測や制御の知識、ネットワークに関するハード・ソフトウェアの知識、電気エネルギーに関する理論などが必要になるので、電気工学・電子工学の知識を身につけておかなくてはならないのです。

他にも、電磁的な干渉も受けないようにするためのEMCや電磁工学についての知識も重要です。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルも、半導体エンジニアに必要なスキルです。

基本的に半導体エンジニアの仕事は複数人で行われますし、様々な部署・関係者との連携が必要になります。そのため、周りの人と協力して業務を進めるコミュニケーションスキルが重要になるのです。

また、自社製品と取引のある顧客先に出向き、要望を聞き出したり、プレゼンテーションや交渉をしたりする必要があります。こうした場面でスムーズに仕事を進めていくうえでも、コミュニケーションスキルが重要になるのです。

半導体エンジニアとして働ける業界・企業

半導体エンジニアは様々な業界、企業で働くことができます。

半導体エンジニアは、半導体を製造する半導体メーカーはもちろんのこと、製品に半導体を使用する家電製品メーカーや自動車メーカー、航空機メーカー、医療用機器メーカーなど幅広い業界で必要とされます。また、AIや自動運転、Iotにおいても半導体は重要な役割を果たしており、半導体エンジニアの需要はこれからさらに大きくなっていくと思われます。

こういった需要に対して、現在は半導体エンジニアは不足しているので、自身の希望する業界・企業に就職しやすいといえるでしょう。

半導体エンジニアのやりがい

半導体エンジニアのやりがいとは、どのようなものなのでしょうか。

半導体エンジニアのやりがいとしては、モノづくりの喜びがあげられるでしょう。半導体エンジニアはイチから半導体や半導体を組み込んだ製品を作っていく仕事です。コンセプト決定から設計、製造、検証、改良など、ひとつのモノができるまで試行錯誤をしながら完成させるというモノづくりの楽しさ、喜びはほかの仕事では得られないやりがいでしょう。自身が設計した製品が世の中で広く利用されることは、自身の作ったもので世界をよくしているという実感は、エンジニアとしての大きなやりがいにつながるでしょう。

また、半導体を作るそれぞれの工程においては、多くの人と協力しながら進めることになります。チーム一丸となって半導体を作り上げる経験は、個人での作業よりも大きな達成感が得られるでしょう。

さらに、半導体の研究は日々行われておりますし、AIやIoTなどの最先端の技術を取り入れて開発を行うこともでき、エンジニアとしての知的好奇心を満たすこともできるでしょう。

未経験から半導体エンジニアを目指す方法

ここまで、半導体エンジニアの仕事内容や必要なスキルなどを説明してきました。では、半導体エンジニアに未経験から目指すにはどうすればいいのでしょうか。

学校で学ぶ

半導体エンジニアに必要な知識やスキルは、大学や大学院、高等専門学校などの学校で学ぶことができます。

大学では理工学部や工学部で半導体に必要な機械、電気、電子に関する工学を学べます。高専でも半導体についての知識を学べます。高専では2022年4月から半導体人材育成を強化しています。このほか、半導体エンジニアに必要な知識を学べる専門学校もあります。

こういった学校では半導体エンジニアに必要な理論や設計方法を学ぶことができます。製作実験などを行える学校などもあるようです。

ただし、学校に通うには多くの時間と費用がかかるということに注意が必要です。

半導体企業に入社する

未経験から半導体エンジニアを目指すには、半導体メーカーや半導体製造装置メーカーなどの半導体関連企業に入社する方法もあります。

半導体関連企業のなかには、未経験者でも採用している企業があります。そういった企業では、入社後に半導体製造に必要な知識やスキルを身につける研修やOJTを整備しており、未経験者でも時間をかけて育成をしてもらえます。現場レベルのノウハウを学べるというのが、学校とは異なる点でしょう。

文系出身などでもイチから学び半導体エンジニアを目指せる場合もあるので、まずは企業の募集要綱を確認してみましょう。

半導体エンジニアに役立つ資格

半導体エンジニアになったあとには、資格を取得することでその知識やスキルを証明することができます。半導体エンジニアのスキルアップやキャリアアップに役立つ資格を紹介します。

半導体技術者検定

半導体技術者検定は、「半導体チップの品質と信頼性を保証する際のテストに必要な知識を持つ人材」を育成することを目的に作られた検定です。

入門的な位置づけの「エレクトロニクス4級」、基礎知識を認定する「エレクトロニクス3級」、若手から中堅エンジニア向けの「エレクトロニクス2級」、指導的な役割を持つエンジニア向けの「エレクトロニクス1級」の4段階に分かれています。

2級は「設計と製造」「パワーエレクトロニクス」「応用と品質」の3分野に分かれており、このすべてに合格すると1級と認定されます(1級の試験はありません)。1級を取得することで、半導体技術の専門知識を有していることの裏付けとなります。

半導体製品製造技能士

「半導体製品製造技能士」は国家資格であり、信頼性が高い資格です。半導体部品製造に関する知識や作業環境の管理方法、実際のスキルなどを問うもので、半導体関連のエンジニアとして働くうえで必要なスキルや能力があることを示すことができます。

等級は特級、1級、2級に分かれ、特級は「管理者または監督者が通常有すべき技能の程度」、1級は「上級技能者が通常有すべき技能の程度」、2級は「中級技能者が通常有すべき技能の程度」があることが認められます。試験は学科試験と実技試験です。

CAD利用技術者試験

半導体設計においてCADの操作が必要ですが、「CAD利用技術者試験」を合格することでCADの操作に関して、半導体の設計を思い通りに製図できるということを証明できます。

CAD利用技術者試験は、平面上への図面作成を中心とする「2次元CAD利用技術者試験」と、立体的な3Dデータ作成をする「3次元CAD利用技術者試験」に分かれています。2次元・3次元の双方とも、2級までは誰でも受験できます。

半導体エンジニアの就職・転職ならベスキャリ機電で

半導体エンジニアは専門性が高く、求められるスキルや知識も多い職種です。しかし、半導体エンジニアは電子工学や電気工学の最先端の研究や技術に触れられる職業であり、大きなやりがいを得られます。半導体エンジニアは年収が高いだけでなく、今後も需要が増えていくことは間違いありません。ぜひ半導体エンジニアへの就職、転職を考えてみてください。

ベスキャリ機電は、機械設計・電気設計業界での15年以上の運営実績があり、半導体エンジニアの仕事も豊富に掲載しています。未経験可の求人、上場企業の求人、非公開求人などもありますし、他社にはない求人なども見ることができます。半導体メーカー以外にも、自動車メーカー、総合電機メーカーなどの求人も豊富に掲載しています。

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