企業でSEとして働いているけれども、独立を考えているという人も多いと思います。実際、2022年の「ITフリーランス人材及びITフリーランスエージェントの市場調査」によると、2021年のITフリーランスの人口は23.1万人と言われており、前年の20.1万人から約15%増加しています。SEにおいても独立してフリーランスで活躍する人が増えていると考えられるでしょう。

しかし、SEとして独立するにはどうすればいいのか、稼いでいけるのかと不安を感じる人もいるかもしれません。そこでこの記事では、SEが独立するメリット、独立したあとに成功する方法を解説します。

フリーランスSEの傾向

まずはフリーランスSEの近年の傾向を、データに基づいて解説します。

まず、フリーランスエンジニアへの転向意識調査では、「フリーランスエンジニアになることに興味がありますか」という質問に「とても興味がある」「やや興味がある」と答えた正社員エンジニアは40%でした。このデータからも、フリーランスに興味があるSEは多いと考えられるでしょう。

若年化が進んでいる

フリーランスのSEにおいては若年化が進んでいます。

フリーランスITエンジニア動向調査」を見ると、フリーンランス人材サービスへの登録者で特に多いのは25~29歳となっており、若手人材が多いことがわかります。エンジニアが独立する年齢は以前よりも若くなってきているといえるでしょう。このデータはエンジニア全体のものですが、SEはITエンジニアに含まれるので、SEでも同じ現象が起きており、フリーランスSEでも若手が多くなっていると考えられます。

若手のフリーランスSEが増えている理由とは何なのでしょうか。「情シスのキャリアに関するアンケート」の業種別を見ると、自身のキャリアの見通しが「非常に明るいと感じる」「明るいと感じる」と回答した人は13.2%~36.6%でした。つまり、自身の将来のキャリアに見通しが立てられないから独立を選んでいる可能性があります。

SEは独立しやすい?その理由を解説

フリーランスエンジニアが増えているのは、エンジニアが独立しやすいからとも考えられます。同じようにSEが独立しやすい理由を解説します。

エンジニア不足で需要が大きい

SEが独立しやすいのは、エンジニア不足で需要が大きいからと考えられます。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の需給ギャップは2030年で45万人と試算されています。

年々このギャップは大きくなっているので、ITエンジニアの人手不足は今後も続く可能性が高いでしょう。SEも同じく人手不足になることから、業務委託など外部に委託する企業が増えると考えられ、フリーランスとして活躍しやすいと考えられます。

仲介業者が多い

仲介業者が多いのも、SEが独立しやすい理由です。エンジニア業界はSESやSlerが一般的なこともあって、フリーランスなどに外注することが一般化しています。自社で人材を採用するよりも外部に依頼することにはメリットも多く、需要が大きいことから仲介業者が多く存在しているのです。

そして、フリーランスのSEは、仲介サービスに登録していれば自分で営業しなくても仕事を紹介してもらえます。独立するときには、仕事の獲得が大きな課題となるので、仲介業者が多くあることによってSEは独立しやすいといえるでしょう。

投資の必要がない

初期投資がほとんど不要であることも、SEが独立しやすい理由の1つです。

フリーランスのSEは基本的に仕入れや設備投資などが必要ありません。SEの仕事はインターネットやパソコン、エディターなどがあればできる仕事です。仕事は自宅でできますし、ミーティングなどはオンライン会議で対応できるので、事務所を借りる必要もありません。

SE以外の事業の場合には、オフィスの契約や商品の仕入れ、保管場所の確保などに費用がかかるため、独立のハードルが高くなってしまうでしょう。仕入れや設備などの投資が必要ないので開業後のリスクが小さく、すぐに開業が可能だからこそSEは独立しやすいのです。

1人で仕事ができる

1人で仕事を行うことができるという点も、SEが独立しやすい理由です。

SEの仕事はシステムの開発や運用がメインになります。これらの仕事はチームで行われるものですが、基本的に各担当がそれぞれの業務を行います。また、チーム内のやりとりはビデオ通話やチャットで可能なため、常に特定の場所に複数人で集合し、同時に作業を行う必要はなく、在宅で仕事を行うことができます。

SEは自分1人で仕事ができるので、人を雇用する必要がありませんし、場所や設備を用意する必要もないので独立しやすいのです。

スモールビジネスから始められる

SEはスモールビジネスから始められるので独立しやすいといえます。

SEの仕事は自宅でひとりでできるので、会社勤めの人も仕事終わりや休日に副業がしやすいです。いきなり独立して開業する場合には、安定した収入が得られないというリスクがありますが、副業のようにスモールビジネスから始めれば、収入がある状態で独立の可能性を探ることができます。副業から始めて、うまく収入が得られそうであれば会社を辞めて独立すればよいのです。

このように、SEはスモールビジネスから始めやすく、フリーランスとしての生き方を試すことができるので独立しやすいのです。

単価が高い

他の仕事と比べて時給単価が高いことも、SEが独立しやすい理由です。フリーランス協会のデータによると、エンジニア・技術開発系のフリーランスが意識している時給単価の割合は以下のとおりです。

価格帯 割合
1,000~2,000円未満 2.4%
2,000~3,000円未満 10.3%
3,000~4,000円未満 24.6%
4,000~5,000円未満 27.0%
5,000~6,000円未満 22.2%
6,000~7,000円未満 5.6%
7,000~10,000円未満 6.3%
10,000円以上 1.6%

多くのフリーランスエンジニアは、時給単価3,000~6,000円を意識して働いているようです。SEを含むエンジニアはスキルを求められる仕事であるため、時給単価が高くなる傾向にあると考えられるでしょう。

また、2024年版 フリーランスエンジニア白書によると、フリーランスエンジニアの年収は以下のとおりとなっています。

価格帯 割合
200万円未満 約5.9%
200~300万円未満 約10.5%
300~500万円未満 約25.8%
500~800万円未満 約27.1%
800~1,000万円未満 約16.5%
1,000~1,200万円未満 約6.3%
1,200万円以上 約7.6%

最も多い年収は500~800万円未満(約27.1%)で、次いで300~500万円未満(約25.8%)であり、フリーランスエンジニアの平均年収は約632万円でした。国税庁による「令和5年分 民間急用実態統計調査」では、日本人の平均年収は460万円なので、エンジニアの年収は高いことがわかります。

SEとして独立しても、報酬の単価が低いと安定した収入を得るのに苦労する可能性があります。単価が高ければ独立後の不安が少ないので、独立しやすいと言えるでしょう。

経費が少ない

フリーランスのSEは、独立後にかかる経費が少ないので独立しやすいと考えられます。

SEの仕事は、パソコンとインターネット環境があれば成り立ち、必要なものが少ないです。そのため、事業を行っていくのにかかる経費を抑えることができます。経費が大きいと独立後の利益の確保が難しくなりますし、その分売上を作らなくてはならず、開業へのハードルが上がってしまうでしょう。

開業後の経費が少ないからこそ、フリーランスSEは独立してからの事業の継続が見込め、独立しやすいのです。

SEが独立するメリット

SEが独立することには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?独立する主なメリットを5つ紹介します。

収入を上げられる可能性がある

SEは独立することで、現在よりも収入を増やせる可能性があります。

会社員の場合、勤続年数などで給与の水準が決められていることが多いですし、どれだけ仕事をしても収入が大きく増えることはありません。一方、フリーランスであれば自身で報酬単価を設定できますし、案件を選ぶことが可能です。さらに、複数の案件を掛け持ちすることも可能なので、働けば働くほど収入を得られます。

実際にフリーランスエンジニアとして独立した人の多くが、収入の向上を実感しているようです。フリーランスエンジニアとしての働き方の調査によると、独立後に「年収が上がった」と回答したフリーランスエンジニアは約59.5%にのぼります。また、「年収は変わらない」と答えた人が15.1%おり、これらを合わせると全体の約74.6%が独立前と同額またはそれ以上の収入を得ていることになります。

自由な働き方ができる

フリーランスSEの魅力の1つは、自由な働き方ができることです。フリーランスSEは、労働時間や勤務日数、働く場所に制限がないので、自身のライフスタイルに合わせた働き方ができます。

例えば、午前中はプライベートの時間に充て、午後から仕事に集中するといったスケジュールで働くことができますし、休日も自分で決められるため、好きなときに長期休暇を取ることができるでしょう。

上のフリーランスエンジニアとしての働き方の調査でも、フリーランスのメリットとして最も多く挙げられたのが「働く時間や場所に縛られないこと」でした。この結果からも、多くのフリーランスSEが自由な働き方に満足していることがうかがえます。

仕事を選べる

SEの独立のメリットとしては、仕事を自由に選べるということがあります。独立をすると、自身の裁量で仕事内容や案件の量を決められます。そのため、過度な業務負担やストレス、長時間労働などを避けられますし、キャリアプランに関係のない仕事をする必要もなくなるので理想的なキャリアを築きやすくなります。

企業に所属していると、基本的に与えられた業務をこなすことが多く、案件を自由に選ぶことは難しいでしょう。フリーランスであれば業務量も自分で調整することができるので、無理な労働による病気などのリスクを抑えることができますし、自身の得意な分野や興味がある分野の仕事を受けられるでしょう。

このようにフリーランスのSEは仕事を選べるので、労働環境やキャリアの面で良い影響を得られるはずです。

スキルを高められる

SEは独立をすることでスキルを高められる可能性があります。独立をすると幅広い案件を経験することができますし、会社員ではできない経験をすることができるからです。

会社に所属している場合、会社から指示された業務を中心に行うので、スキルを得たい分野などの仕事を選べないことも多いです。しかし、独立をすれば自由に案件を選べるため、得意分野を深めることも新たな分野に挑戦することも可能です。

また、独立をすると自分ですべてを解決しなくてはなりませんし、あらゆる業務を自分で行わなくてはならないので、会社員のSEでは得られない能力を身につけることができます。クライアントとの折衝や営業、契約交渉、スケジュール管理、プロジェクトマネジメント、トラブル対応などのスキルを得ることができるはずです。

このように、SEは独立することで会社員では得られないスキルを得ることができ、より成長することができるのです。

職場の人間関係がない

SEが独立をすると職場の人間関係がなくなりますが、それがメリットになる場合があります。フリーランスとして独立すれば、クライアントやプロジェクトチームとのコミュニケーションはありますが、基本的に1人で業務を進めることができ、会社のような人間関係はありません。そのため、人間関係に関するストレスを軽減しやすくなるでしょう。

企業に属している場合、多くの人と円滑にコミュニケーションをすることが求められますし、社内の人間関係がストレスを与えることなどもあります。独立をすればそういった人間関係がなくなり、クライアントやパートナーとのみコミュニケーションを取ればよくなります。

「エンジニアに関する実態調査」によると、6割以上のエンジニアが「適度な距離感を保った関係」を望んでいることがわかっています。ただし、職場での人間関係が必要という人もいるので、そういった人は会社に所属するほうがよいかもしれません。

SEが独立して成功するための方法

独立したあとに単価が上げられなかったり、案件が取れなかったりという事態になってしまうと、廃業となってしまうかもしれません。そうならずに、SEが独立して成功するための方法を紹介します。

コミュニケーション力を高める

SEが独立して成功をするためには、コミュニケーション力を高めることが重要です。フリーランスだからといって会社員のようにコミュニケーションを取る必要がないかというとそうではありません。コミュニケーション力は独立後のあらゆる面で求められます。

SEの仕事は基本的にチームで行うので、チームメンバーと円滑にコミュニケーションを取らなくてはなりません。クライアントへの営業や折衝、チームメンバーのマネジメントなどを行わなくてはならない場合もあります。

コミュニケーション力を高めることで、よりプロジェクトを成功に導けますし、クライアントとの信頼関係が構築できて仕事の獲得率や継続率を高めることができるでしょう。

スキルアップを継続する

SEが独立して成功するためには、スキルアップを継続することが重要です。SEの領域は、技術やトレンドの変化が激しいです。この変化に対応して仕事を得続けるためには、継続的な学習とスキルアップが欠かせません。

実際、「ITエンジニアの将来のキャリア形成と転職に関する意識調査」では、回答者の約6割が「急速な技術の変化に脅威を感じている」と答えています。

また、「エンジニア白書2023」によると、約95.3%のエンジニアが「スキルアップを目的に、業務時間外でも自主的に学習している」と回答しています。多くのエンジニアが学習をしているので、エンジニア市場で仕事を獲得していくためにもスキルアップや学習は必須でしょう。

エージェントに相談する

SEとして独立したあとに成功するためには、エージェントを活用することも効果的です。フリーランス向けに案件紹介を行っているエージェントを利用することで、良い案件を効率よく得られる可能性があるだけでなく、他にもさまざまなメリットを得られます。

エージェントは企業の詳しい情報や独立したSEの情報を多く持っており、適性や経験、スキルに応じた仕事を紹介してくれます。エージェントを活用することで、自分で営業活動を行わなくても自分に合った案件を紹介してもらえる可能性があるのです。

また、転職エージェント利用者は、非利用者に比べて転職時の年収が高くなるという調査もあります。フリーランスエージェントも同じように報酬の交渉などを行ってくれるので、報酬が高まる可能性があるでしょう。

エージェントのなかには商談への同行やアドバイス、定期的なヒアリングなどアフターサポートを行ってくれる会社もあります。そういったエージェントを利用することで、より負担なく効率的に仕事を得ることができるかもしれません。

SEのフリーランス求人はベスキャリITで

SEとして独立することで、収入アップや自由な働き方、スキル向上など、多くのメリットが得られます。一方で、独立後には仕事を獲得していかなくてはなりません。効率よく条件の良い仕事を得るためにはエージェントを利用するのがおすすめです。

「ベスキャリIT」は、15年の運営歴のあるフリーランスエンジニア向けの案件・求人情報サイトです。全国の企業とネットワークがあり、常時1万件以上の案件を掲載しており、非公開求人なども多く掲載しています。

さらに、IT・Web業界に精通した専任アドバイザーがひとり一人に付き、スキルや経験に合った案件を提案。商談への同行やアフターフォローも万全なので、不安を感じている人も安心です。案件を効率よく獲得したい、面接や営業が不安というフリーランスSEは、まずはベスキャリITに登録してみてください。

ベスキャリITの無料会員登録はこちら

シェアする