ITエンジニアとして転職を考えている人のなかには、転職をして後悔したらどうしようと不安な人も多いかもしれません。はたして、転職をしたITエンジニアのどれくらいの人が後悔をしているのでしょうか?また、後悔しない方法はあるのでしょうか?

ここでは、多くのエンジニアの転職を支援してきたベスキャリが、エンジニアの転職によって起こる後悔について解説します。データをもとにITエンジニアの転職で後悔した人の割合を紹介するとともに、後悔している場合の理由、ITエンジニアの転職事情、後悔しないためのポイントを解説します。

転職を後悔しているエンジニアは多い?

転職をして後悔しているITエンジニアは多いのでしょうか?

これはITエンジニアのみのデータではありませんが、過去3年以内に転職した22~59歳の会社員1,000人にアンケートを実施したところ、59.7%が転職を後悔しているというアンケート結果があります

これを見ると、転職をしたことに対して何らかの不満や後悔を抱えている人は、少なくないと感じられます。では後悔をしている人は、どのような理由で転職したことに対して後悔しているのでしょうか。

エンジニアが転職で後悔する理由とは

株式会社識学が実施した「転職後の幸福度調査」では、転職して「後悔・失敗したと思った」理由は以下となっています。

給与

転職して後悔した理由の1位は給与です。転職後の給与が思ったより低かったというのが給与への後悔の理由のようです。

転職前は年収が高まることを期待していたけれど、いざ転職してみると前職よりも給与が下がってしまうということがあります。給与水準の高い大手企業からベンチャー企業に転職した場合などは給与が下がる可能性がありますし、転職先が年功序列の評価制度の場合や評価制度が不透明な場合は実力に伴って給与が上がることもないでしょう。

転職前に思い描いていた給与が得られないというのは、ITエンジニアでも多く見られることです。

環境

組織の風土や人間関係、労働時間などの環境も、後悔をすることが多い理由です。アンケートデータでも、「組織の風土が合わなかったから」は22.8%で理由のうちで2位となっています。

社風が合わない、風通しが悪い、人間関係が悪い、労働時間が長い、残業が多いなど、会社の環境というのは、仕事の満足度に大きな影響を与えます。転職前に思っていた環境や前職の環境よりも悪化したと感じてしまうと、日々の仕事のなかでのストレスが大きくなりますし、モチベーションは大きく下がってしまうでしょう。

転職で後悔しないためにも、環境に関しては事前にしっかりとチェックしなくてはなりません。

仕事内容

仕事内容もエンジニアが後悔する理由となります。アンケートでも、「思い描いていた役職・業務内容と異なっていたから」は19.9%と高い割合となっています。

実際に行う仕事内容が転職前に考えていたものと異なってしまうと、それを目的にして入社した人としては大きな後悔をすることになるでしょう。

仕事内容はスキルや知識を身につけることやキャリアの形成など、自身の成長にも大きく影響します。特にITエンジニアでは、仕事内容は自身の成長やキャリアに大きくつながるので注意しなくてはなりません。

上司

転職した会社の上司も、ITエンジニアが後悔する大きな要素となります。アンケートデータでも、「自分を成長させてくれる上司がいなかったから」は16.9%、「上司からの指示が曖昧だったから」は18.8%となっています。転職先の上司は重要な要素なのです。

転職先の会社の上司が、自身の成長を後押ししてくれない場合や的確な指示を出さずに混乱させるような場合、働きづらさを感じてしまうでしょう。

ITエンジニアの場合、マネジメントを行う上司がそのような人だった場合、エンジニアは上司を信頼できないですし、プロジェクトもうまく進まないですし、エンジニアは無駄な作業を行わなくてはならないことにもなるでしょう。

エンジニアの転職事情

ここまで、転職によって後悔する人が多いことと後悔する理由を見てきましたが、実際のITエンジニアの転職事情はどうなっているのでしょうか。

転職をしたい人は多い

20代から50代のITエンジニア300名を対象に行った調査によると、20代と30代の回答者の半数以上が「積極的に転職したい」または「いい会社があれば転職をしたい」と回答しました。さらに、40代から50代の回答者でも46%が転職を検討しています。

ITエンジニアにおいては、転職によってスキルや知識の幅を広げられることもあり、キャリアアップのために転職をすることが一般的となっています。それもあって、転職をしたいと考えているITエンジニアが多いという結果になっている可能性があります。

転職活動期間は?

では、ITエンジニアはどれくらいの期間で転職をしているのでしょうか。

マイナビ株式会社が実施した「転職動向調査 2023年版(2022年実績)」では、クリエイター・エンジニアの転職活動期間は「3カ月~半年未満」が最も多いという結果になりました。転職を考えてから、一定期間は転職活動を行っていることがわかります。

また、このアンケートを見ると、前職の就業期間は平均66.8カ月(約5年半)なっており、比較的長い期間勤務していたことがわかります。転職が一般的といっても、ひとつの企業で一定の期間しっかりと働いていることがわかります。

転職で重視するポイントは年代で異なる

先ほどの調査データを見ると、ITエンジニアが転職で重視するポイントは、以下のように年代ごとに異なることがわかります。

20代

  • 第1位:給与・待遇
  • 第2位:働き方(残業/リモート/副業可など)
  • 第3位:仕事内容

30代

  • 第1位:仕事内容
  • 第2位:給与・待遇
  • 第3位:働き方(残業/リモート/副業可など)

40代・50代

  • 第1位:給与・待遇
  • 第2位:仕事内容
  • 第3位:働き方(残業/リモート/副業可など)

この結果を見ると、3位までに入っている要素は同じものですが、優先順位が異なります。

20代と40代、50代では、給与・待遇をもっとも重視していますが、30代では仕事内容を重視しています。また、30代や40代・50代では働き方は3位とほかの要素よりも低くなっています。これは、仕事に慣れていることもあるので重要度が低いのかもしれません。

このように年齢ごとに転職で重視するポイントは異なるので、それぞれの状況に合った転職先の選定が大事になります。

転職回数はどれくらい?

では、ITエンジニアは何回くらい転職をしているのでしょうか。

こちらのアンケートによれば、ITエンジニアの約7割が2回以上の転職を経験しているとの結果になっています。転職回数が5回を超えている人は23.1%で、次に多いのが転職回数2回の20.5%、転職回数1回の17.9%となりました。

やはり、ITエンジニアは転職が多い職種といえるでしょう。「転職回数は何回以上が多いと感じますか?」という質問に対しても、多くは5回と答えていることからもそれがわかります。

転職回数は転職に影響する?

では、ITエンジニアは転職回数が多いことで転職が不利になるなど、転職回数が転職に影響するのでしょうか。

こちらの調査 を見ると、ITエンジニアは転職回数が増えるごとに給与が高くなる傾向にあることがわかります。「転職回数による平均年収の変化」のグラフを見ると、おおむね転職回数が多いほど年収が高い結果となっています。つまり、ITエンジニアは1社のなかで昇格・昇進をしていくよりも、転職を重ねるほうが年収を増やせる可能性があります。

データからは、転職をするのが一般的な職種であり、転職をしている人のほうが評価をされているということがわかるので、転職回数が多いからといって転職が不利になるということはないでしょう。

エンジニアの転職のメリット

ITエンジニアは転職することで様々なメリットを得られます。

スキルアップ

ITエンジニアは転職でスキルアップを行うことができます。

転職先の仕事に、これまで経験していない技術やポジションの仕事を選ぶことで、新しいスキルを身につけることができます。職種によっては、プログラミングスキルだけでなくマネジメントや交渉などのスキルアップをすることができます。

転職によってITエンジニアは現在の仕事では体験できない経験をすることができますし、様々なスキルを高めることができます。スキルや経験を高めることで、将来的なキャリアアップの機会も広がるでしょう。

年収アップ

上でも述べましたが、ITエンジニアは転職によって年収を高められる傾向があります。

「転職動向調査 2023年版(2022年実績)」によると、クリエイター・エンジニアの半数以上が転職によって年収が上がっています。

ITエンジニアの業界においては、スキルや経験がある人材に対する需要が高いです。即戦力となれる人材であったり、自社にないようなスキルを持っている人材というのは、企業も高いコストを支払います。

だからこそ、経験豊富で実力のあるエンジニアは年収アップできるのです。

環境の変化

環境の変化も、ITエンジニアの転職におけるメリットです。

ITエンジニアは、転職することで前職よりもよい環境や人間関係の企業に移ることができます。ITエンジニアを採用する企業の環境というのは様々です。長時間労働や給与の低い企業があるかと思えば、定時で帰れるのに給与の高い企業、オフィスがきれいで環境が整った会社などもあります。

前職の労働条件や労働環境が悪く入社したことを後悔していたとしても、経験を積みスキルを高めることで、よい条件の会社に採用してもらえる可能性があるのです。

エンジニアの転職で後悔しないためのポイント

ITエンジニアが転職で後悔しないためにはいくつかのポイントがあります。

逃げの転職をしない

ITエンジニアが転職で後悔することを避けるには、逃げの転職をしないということが大事です。

現在の会社や仕事に不満があるからといって、それから逃げるために転職をしてしまうと、転職で後悔してしまう可能性があります。そのような逃げの転職では、挑戦や成長をしたいから転職をするわけではありませんし、経験やスキルを蓄積する前に転職してしまうことにもなります。そのような状態での転職では、採用企業側も採用に後ろ向きになるかもしれません。

現状に不満があるからといって、すぐに逃げの転職に踏み切るのでなく、現状をしっかりと見つめ、転職に最適なタイミングかを考えましょう。

目的を明確にする

転職の目的を明確にすることも大切なポイントです。

転職の目的が明確になっていないと、転職したあとにミスマッチを起こし、転職を後悔することになってしまいます。「特定の言語でキャリアを築きたい」「新しいスキルを得たい」「マネジメントをしたい」「給与は下がっても残業がない企業で働きたい」など、転職の目的は人によって異なりますし、最適な企業もそれぞれ異なります。

自分に合った企業を探すためにも、転職の目的を明確にしましょう。

情報を収集する

転職先の企業や業界の情報を十分に収集することも、後悔しないための重要なポイントです。

転職先を決めるときに、あまり情報を収集せずにイメージや面接をした印象だけで決めてしまうと、後悔してしまうことになります。

転職先についてインターネットで口コミを調べたり、OBに話を聞いてみる、職場を見学して雰囲気を確かめるのがよいでしょう。また、担当エージェントに社風や労働環境などについて詳しく聞いてみるなどを行うのもよいです。

エージェントに相談する

転職で後悔しないためには、転職エージェントに相談するのもひとつの手です。

転職エージェントは、実際に企業を訪れて社内の様子をよく見ていることがありますので、インターネットにないリアルな情報を持っている可能性があります。転職エージェントに相談することで社風や労働環境、残業、人間関係、上司などについて教えてもらえるかもしれません。

また、転職エージェントに相談することで、企業の面接対策も教えてもらえる可能性があります。転職を成功させるためにも、転職エージェントをうまく活用しましょう。

後悔している新卒エンジニアも多い

ここまでは経験者のエンジニアの転職に関する後悔について説明してきましたが、卒業後に就職した新卒エンジニアは後悔しているのでしょうか?

こちらの調査によれば、約4割以上の新卒エンジニアが企業選びにおいて後悔しているとされています。

「もう一度、就職活動をする場合の企業選びの判断軸」では、最も重視するのが「給与」の56.3%で圧倒的に多く、「福利厚生」(27.7%)、「業務内容」(24.3%)がこれに続きました。給与や福利厚生、業務内容を重視せずに入社したことで、後悔してしまったようです。

新卒エンジニアは後悔しないためにも、就活においてこれらの条件もしっかりと検討するようにしましょう。

エンジニアの転職はベスキャリで

ITエンジニアは転職によって大きな後悔を抱えてしまう可能性があります。ただし、転職によって年収が向上したり、スキルアップができたりといったメリットも多くあります。

転職を考えているITエンジニアの方は、後悔しないためのポイントを抑えながら転職活動をしてみてください。

ベスキャリITでは、ITエンジニアの方の転職を支援しています。15年以上の運営実績があり、延べ18,000人月以上の稼働実績と300社以上の取引実績があります。幅広い言語、業務範囲の案件を豊富にご用意。

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