製造業が盛んな日本において、機械設計の仕事は需要の大きな仕事といえます。では、機械設計エンジニアの年収はどれくらいなのでしょうか。そして、いま機械設計エンジニアに興味を持っている人は、将来性や必要なスキル、年収を上げる方法なども知りたいと思います。
そこでこの記事では、機械・電気に関わるエンジニアの就職・転職支援を行っているベスキャリが、機械設計エンジニアの年収情報や年収を上げる方法などについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
機械設計エンジニアとは
まず、機械設計エンジニアとはどのような仕事なのかを説明します。
機械設計エンジニアの仕事内容
機械設計エンジニアの仕事内容は、産業用機械、自動車や船舶などの運搬用機械、パソコンなどの精密機器のような、あらゆる機械の設計作業です。
機械の外観や機械がどのように動くかという構造を設計し、必要な資材や部品などを、耐久性や安全性、コストもふまえた上で考えます。そして、CADなどの製図ソフトを用いて設計し、解析ソフトを用いながらシミュレーションを繰り返します。
設計だけでなく、クライアントへのヒアリングや関係部署やパートナーとの交渉、組み立てや加工での調整、最終テストなど機械製造における多くの工程に関わります。機械製造における要ともいえる仕事であり、幅広い知識が求められます。
機械設計エンジニアの労働環境
生労働省の「職業情報提供サイト」によると、機械設計エンジニアは令和2年で242,820人おり、平均年齢は41.6歳となっています。
実際に働いている人が多いと感じる学歴としては、大卒が67.4%と最も多く、そのなかでも約半数が修士課程卒となっています。ただ、高専卒や専門学校卒なども一定数いますが、理系分野の素地が必要であることが伺えます。
また、正規の職員、従業員が大半を占めており、安定した働き方ができるといえます。労働時間は平均で165時間とされているので、あまり残業はない労働環境といえるでしょう。
機械設計エンジニアの年収
機械設計エンジニアの年収はどれくらいなのでしょうか。
平均年収
職業情報提供サイトによると、機械設計エンジニアの平均年収は612.4万円となっています。国税庁による令和4年の調査では、日本の給与所得者の平均年収は458万円であり、男性の平均は563万円でした。これを見ると、機械設計エンジニアの年収の水準は高いことがわかります。
ただし、エンジニアの給与はスキルや仕事内容によって幅があります。ベスキャリ機電に掲載している機械設計エンジニアの年収を見ても、年収300万円から1000万円まで幅広い求人があります。
年齢別の年収
機械設計エンジニアの年収は、年齢ごとにどのように変化するのでしょうか。
職業情報提供サイトの「年齢別の年収グラフ」を見ると、機械設計エンジニアの年収は20~24歳で347.09万円ですが、年齢を重ねるごとに増えていき、55~59歳でもっとも大きくなり769.58万円となります。
そこから年収は下がっていきますが、60~64歳で559.33万円、65~69歳で506.41万円、70歳以上でも384.47万円と高水準の給与がもらえることがわかります。このように、機械設計エンジニアは、キャリアを重ねることでしっかりと給与が得られる職業であることがわかります。
給与分布
次に、給与の額ごとにどれくらいの人がいるのかを見てみます。
職業情報提供サイトの「所定内給与額別の人数割合」を見ると、月額で20万円台の人がもっとも多く、金額が上がるほど割合は小さくなっていきます。月額で40~44.9万円の人は9.8%おり、45~49.9万円でも7.3%、50~54.9万円は4.7%となっており、一定以上の年収を多くの人が得られていることがわかります。
また、70~79.9万円は0.94%ほどいますし、80~89.9万円でも0.31%おり、月額で見ても高収入を得られる可能性がある仕事ということがわかると思います。
他のエンジニア職との比較
では、機械設計エンジニアは他のエンジニア職と比較した場合には、どれくらいの年収なのでしょうか。厚生労働省の「職業情報提供サイト」の各職種の平均年収を見ると以下のようになります。
機械設計エンジニア | 612.4万円 |
---|---|
組み込みエンジニア | 557.6万円 |
システムエンジニア(業務用システム) | 557.6万円 |
電子機器エンジニア | 688.2万円 |
プラントエンジニア | 612.4万円 |
これを見ると、機械設計エンジニアは組み込みエンジニアや業務用システムのシステムエンジニアよりは年収の水準が高いですが、電子機器エンジニアよりも低いことがわかります。また、プラントエンジニアとは同程度の年収であることがわかります。
将来の機械設計エンジニアの年収は?
機械設計エンジニアの年収の水準が高いことはわかりましたが、将来的にも同じような金額が得られるのでしょうか。機械設計市場がどうなるのかを見るとともに、将来の年収の変化を考えます。
将来の機械設計市場
機械設計の市場が小さくなってしまうと、エンジニアの年収も下がることになってしまいますが、市場は将来どのように変化するのでしょうか。
株式会社グローバルインフォメーションの調査によると、「工作機械市場規模は2024年に1,035億7,000万米ドルと推定され、2029年には1,195億8,000万米ドルに達すると予測され、予測期間中(2024-2029年)のCAGRは2.92%で成長します」と言われており、世界で工作機械市場は大きくなるとされています。
また、建設機械市場に関する調査でも、2023年から2030年で年平均成長率6.6%で成長すると予測されています。このように、機械の需要は大きくなっていくと予測されているので、機械設計の市場に関しても同様に伸びていくでしょう。
機械設計エンジニアの将来の年収
では、機械設計エンジニアの年収は将来どうなるでしょうか。将来も高収入が得られるのでしょうか。
現在、機械設計エンジニアは人手不足の状況です。職業情報提供サイトでも有効求人倍率は2.96となっています。経済産業省が平成30年に公表した「理工系人材需給状況に関する調査結果概要」でも、「現在の業務で必要とする分野と大学で学んだ分野との比較」において、企業が必要とする分野として「機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)」が全職種・全業種のなかでもっとも大きい数値を記録しています。
さらに、経済産業省が企業を対象に実施したアンケート調査でも、「5年後に人材が不足する分野は機械工学が12.4%で最多となった」とされています。このように、将来的にも人材不足は続くと考えられます。
人材不足に陥ると、競争の原理が働くことで給与が高まると予想されます。製造業は日本の産業のなかでも大きな部分を占めていることもあり、機械設計エンジニアの給与は将来も高いままだと考えられるでしょう。
機械設計エンジニアの将来性については以下で詳しく解説しています。
『機械系エンジニアの将来性は?AIによる影響や不安点、将来活躍する方法も解説』
機械設計エンジニアとして評価されるスキル
機械設計エンジニアとして就職や転職をする場合に、評価をされるためにはどのようなスキルがあるのでしょうか。
工学の幅広い知識
機械設計エンジニアには、工学的な知識が求められます。
機械力学・流体力学・熱力学・材料力学などの4大力学、機械に用いられる素材の知識、ねじやモーターなどの知識、切削や研磨などの加工方法などの工学的な知識が求められます。耐久性や安全性、操作性に優れた機械を作り上げるために、こういった知識が必要なのです。
さらに、機械製造の流れや規格や法規、組み立てや生産方法なども把握しておくことが求められます。
ソフトウェア操作スキル
ソフトウェアの操作スキルも機械設計エンジニアとして評価されるスキルです。
機械設計では、設計図の作成でCADが、シミュレーションを行うためにCAEが用いられることが多いです。こういったソフトウェアの操作スキルは機械設計エンジニアでは必須といえます。また、設計図を理解し評価・改善する力も求められます。
現在では、AIを用いたCADなども開発されており、こういった新しいツールの操作スキルなども求められるようになるでしょう。
コミュニケーション力
コミュニケーション力も機械設計エンジニアには求められます。
機械設計の現場では、複数人のチームで機械を設計していくことになります。メンバーと意見を出し合い、作業を分担して情報を共有しながら仕事を進めていくのでコミュニケーション力が評価につながるのです。
また、エンジニア職といいながらも設計だけでなく、クライアントへのヒアリングや交渉、関係会社との折衝なども必要になります。こういった対外的なコミュニケーションの経験やスキルも評価につながるでしょう。
マネジメントスキル
機械設計エンジニアとして高い年収を得るためには、マネジメント能力も必要になります。
企業で機械設計エンジニアとしてのキャリアを築いていくには、管理職になることが求められることが多いです。チームのメンバーをマネジメントし育成していくとともに、プロジェクト全体をマネジメントすることが求められるのです。
スペシャリストになるというキャリアの築き方もありますが、その場合にもマネジメント力は必要になるでしょう。
機械設計エンジニアの年収を上げる方法
機械設計エンジニアとして就職したあとに年収を上げるためには、どのようなことをすればよいのでしょうか。ここでは代表的な方法を紹介します。
リスキリングを行う
年収を上げるためには、リスキリングを行うのが有効です。機械設計エンジニアは身につけた知識やスキルが業務に大きく影響します。より良い機械が作れるようになりますし、企業内での業務の範囲も広がるでしょう。それによって、企業から評価が得られ給与が上がる可能性があります。
また、製造業のエンジニア600人へのリスキリングについての調査結果を見ると、機械系エンジニアではリスキリングに「すでに取り組んでいる」のは7.7%で、「これから取り組む予定」は13.7%となっています。20%以上の人がリスキリングに取り組むことになります。
こういった状況では、自身もリスキリングをしていないと、他のエンジニアと比較をされたときに評価が下がってしまうかもしれません。リスキリングを行うようにしましょう。
資格を取得する
資格を取得することも年収を上げるのには有効です。資格を取得することで、自身のスキルや知識を証明することができます。資格取得を支援している企業もありますし、資格取得者に対して報酬を与えたり、給与を上げたりする会社もあります。
機械設計にかかわる資格としては、機械設計技術者や技術士、CAD利用技術者試験など様々なものがあります。また、危険物取扱者資格、電気主任技術者、施工管理技士などのように、機械に関係がなくても取得することで役立つ資格などを取得するのもよいでしょう。
資格取得を評価してくれる会社であれば、年収を高めることができるはずですので、企業がどのような評価体制をとっているかを確認してみましょう。
役職に就く
働いている企業内において役職に就くことで、年収を高めることができます。一般的には機械設計エンジニアとして経験を積むことで設計者としてのレベルが上がります。そして、プロジェクトリーダーや係長、課長、部長などのような役職に就くことで年収を上げられるでしょう。
こういった役職に就くためには、企業におけるあらゆる業務を習熟する必要があるので、企業内で経験を積む必要があります。また、役職に就くためにはリーダーシップやマネジメント能力も身につけなくてはなりません。
転職する
機械設計エンジニアは転職をすることで年収を高められる可能性があります。転職をすることで、外資系企業や大手企業などのように給与水準が高い企業へ入れる可能性があります。
また、転職で年収を高めるには、転職エージェントを利用するのがよいでしょう。転職エージェント利用者は、非利用者と比べて転職時の年収アップ成功率が高いというデータがあります。
ある程度キャリアを積んだら転職も検討してみましょう。
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機械設計エンジニアは安定した年収が得られる仕事ですし、将来的にも年収が高まることが期待できます。工学的な知識やスキルは必要にはなりますが、未経験採用を行っている企業、イチから研修を行っている企業なども多いです。異業種や異職種で働いている人でも、興味のある人はぜひ応募をしてみてください。
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