機械設計エンジニアは、製造業が盛んな日本においては需要の大きな仕事です。

ただ、機械設計エンジニアに興味を持ったとしても情報があまりなく、どんな仕事内容なのかがわからないかもしれません。そこで、エンジニアのキャリア支援をしているベスキャリが、機械設計エンジニアについて詳しく解説します。

機械設計エンジニアに必要な知識・スキル、資格、やりがいなどについても説明するので、ぜひ参考にしてください。

機械設計エンジニアとは

機械設計エンジニアとは、機械が動くための仕組みを設計する仕事です。ここでいう機械とは、炊飯器や電子レンジなどの家電製品から、スマートフォンなどの精密機器、自動車や飛行機などの乗り物、製造工場の機械など幅広いものを指します。こういった機械を目的通りに動かすための設計を行うのが機械設計エンジニアなのです。

機械設計エンジニアは、どのような機械にするのかといったコンセプトづくりを行うとともに、専用のソフトを用いて機械の図面を書き起こし、その図面通りに動くかのシミュレーションまでを行います。

機械の製造において、どのような機能・性能を持つ機械にするか、加工や組み立てといった製造工程がスムーズに進むかどうかや、原価などにも大きく影響するため、機械設計エンジニアは非常に重要なポジションです。

ちなみに、この記事では機械設計エンジニアの説明をしていますが、ITや建設などの広い意味のエンジニア一般については以下の記事でまとめています。

エンジニアとは?メリット、必要な知識・スキル、適性を解説!

機械設計エンジニアの年収

機械設計エンジニアの年収はどれくらいなのでしょうか。

厚生労働省が提供する「職業情報提供サイトjobtag」によると、機械設計エンジニアの全国平均年収は612.4万円となっています(2024年6月時点)。

「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、全国平均給与は458万円なので、機械設計エンジニアの年収は比較的高いことがわかります。

また、機械設計エンジニアが年収のピークを迎えるのは55~59歳で、平均で769.58万円となっています。全国平均でも年収ピークは同じ年代ですが、平均では546万円となっており大きな差があることがわかります。

機械設計エンジニアの仕事内容

機械設計エンジニアは、顧客の要望のヒアリングから設計、シミュレーションまで、上流工程の一連の工程を担当します。ここでは、機械設計エンジニアの仕事内容を各工程ごとに詳しく紹介します。

企画

機械設計のプロジェクトが立ち上がると、まず企画を行います。

クライアントがいる場合には顧客へのヒアリングを行いますし、社内プロジェクトの場合にも関係者にヒアリングを行います。それをもとに、誰のどのような課題を解決するための機械なのか、どんなシーンで利用するのかなどの機械製品のコンセプトを関係者とすり合わせていきます。

類似製品の調査などもここで行います。

概念設計

企画とおおまかな方向性が決まったら、概念設計を行っていきます。

概念設計では、企画で決まった機械の目的、ターゲットなどから、より詳細なスペックやデザイン、予算、販売価格、開発期間、使用技術などを決定していきます。シミュレーションを行いながら、どのような動きを行うのか、それは実現可能なのか、どんな部品や素材が必要なのかなどを決めていきます。

設計したことは仕様書などとしてまとめ、関係者に共有します。概念設計では、財務やマーケティングなどさまざまな関係者との交渉なども必要になるので、幅広い知識が求められます。

詳細設計

次に、概念設計で作ったイメージを、より詳細な製品として実現するための設計図に落とし込むフェイズに移ります。

概念設計で決定した動きを行う機構、部品やインターフェイスの配置、各部品のサイズなど、より具体的な仕様の設計を行っていきます。また、強度計算や重量計算、細かなコスト計算なども行います。設計に無理がある場合には修正を繰り返します。この段階では試作品を制作しての検証を行っていきます。

そして、設計が固まったら製品化するための図面を作成します。

生産設計

詳細設計が終わったら、量産化のための「生産設計」に移ります。

生産設計では、必要な原料、製造するための機器や手順など、量産化するためのラインをどう整えるか、どのようなペースで製造を行うかなどを設計します。

トラブル時の対応、メンテナンスなど、生産を続けていくなかでの課題と対応などもまとめます。

試作

機械を生産できる環境を整えたら、実際に機械を試作します。詳細設計の段階で試作を行っているので、最終のチェックを行うことになります。

ラインを稼働した場合に、製品に問題がないか、計画通りに製造ができているかを確認していきます。問題があった場合は、対応を行い解決をしていきます。

試作で問題がなければ量産を開始し、保守を行っていきます。

機械設計エンジニアに必要な知識・スキル

ここまで見たように、機械設計エンジニアは多くの複雑な工程を行わなくてはならないので、専門的な知識やスキルが必要です。主に以下のような知識やスキルが求められます。

力学の知識

機械設計エンジニアには力学の知識が求められます。

機械設計エンジニアは、4大力学といわれる材料力学・機械力学・流体力学・熱力学の知識を学ぶ必要があります。材料力学では構造材に負荷を加えた時の変形の原理がわかりますし、機械力学では機械に生じる力の大きさや方向を理解することができます。

また、液体や空気を扱う機械の場合には、流体がどのように運動するかの流体力学が必要ですし、熱を発生させる機械や熱エネルギーを利用する機械では、熱力学を学んでおく必要があります。

力学の知識は基礎であるだけでなく、力学の知識を得ておくことで故障や破損などのリスクを避けて設計ができます。より理にかなった設計を行うことにもつながるでしょう。

メカトロニクスの知識

機械設計エンジニアには、メカトロニクスの知識も求められます。

メカトロニクスとは、機械装置であるメカニズムと電子工学であるエレクトロニクスを合わせた言葉です。機械にマイクロコンピュータなどの電子部品を搭載し制御するための知識や技術のことを指します。

現在では、工業用ロボットや家電製品において小型コンピューターなどの電子機器が組み込まれています。現代では当然のようになった、電子機器と機械を融合した製品を作るためにメカトロニクスの知識の習得は必須なのです。

発想力・思考力

機械設計エンジニアには、発想力や思考力が必要です。

機械で課題を解決するための方法を生み出すための発想力が必要ですし、既存の技術を組み合わせたり応用したりして新しい解決方法を考えだす思考力が求められるのです。

クリエイティブな仕事をするために、発想力や思考力を鍛えなくてはなりません。

ソフトウェアの操作スキル

CADやCAMなどのソフトウェアの操作スキルも、機械設計エンジニアには求められます。

機械の設計では製図作業が必要になります。精度の高い製図を行うとともに、強度計算や応力解析などを行うためにCADが用いられるので、CADの操作スキルを身につけなくてはなりません。

また、CADデータから加工データを作るシステムであるCAMを利用するためのスキルも必要でしょう。

こういったソフトウェアを用いることで効率的かつ精密な設計ができますし、現場では広く利用されているので必ず操作スキルは学んでおきましょう。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルも、機械設計エンジニアに求められるスキルです。

機械設計の仕事では、チームで仕事をすることが多いですし、他部署や他企業の関係者とも連携して仕事をすることになります。ですので、様々な立場の関係者と円滑に意思疎通を行い、協力関係をスムーズに築くことが求められるのです。

クライアントへのヒアリング、交渉なども必要であり、専門的な内容をわかりやすく説明する力なども必要になってきます。

機械設計エンジニアに関係する資格

機械設計エンジニアには求められる能力が多いですし、その仕事内容は専門的であるからこし、資格を取ることで自身の能力や知識を証明することができます。ここでは、機械設計エンジニアの業務に関係する資格を紹介します。

技術士

「技術士」とは、「国によって科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者で、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格」とされています。

技術士は航空・宇宙部門、化学部門、金属部門など21の技術分野をカバーしているので、高い専門的学識と、問題解決やマネジメント、評価、コミュニケーション、リーダーシップ、技術者倫理などにおいても資質能力を備えていることを証明できます。

この資格を取得することで、専門的知識やコミュニケーションにおいて優れた機械設計エンジニアであることを示すことができるでしょう。

機械設計技術者試験

「機械設計技術者試験」とは、国家試験ではありませんが「安全で効率のよい機械を経済的に設計する機械設計技術者の総合能力を認定」する試験とされています

合格することで、機械設計分野、熱・流体分野、メカトロニクス分野、力学分野、材料・加工分野、環境・安全分野など、幅広い知識を証明することができます。

2級、1級は実務的な知識・経験を問うもので、どちらも受験には実務経験が必要です。1級では記述式の試験に加え、実技課題と小論文が出題されます。

CAD利用技術者試験

CAD利用技術者試験は、「CADを利用するための知識を持ち、さらに図面を正しく理解してCADを利用した作図を効率的にこなすことができる技能を証明できる試験制度」です。

試験は「2次元CAD利用者技術者試験」と「3次元CAD利用者技術者試験」の2つがあります。

2次元CADも3次元CADも2級の合格率は50%程度であり、簡単な資格とはいえませんが、取得しておけばCADのスキルが一定のレベルに達していることをアピールすることができます。

機械設計エンジニアのやりがい

機械設計エンジニアのやりがいとはどのようなものでしょうか。

機械設計エンジニアのやりがいとしては、まずものづくりの仕事であることがいえるでしょう。チームで協力して製品を作り上げるという達成感は、ほかの仕事では得られないはずです。また、自身が関わった製品が広く世の中で利用されるというのも、やりがいを感じられるでしょう。

また、エンジニアとしての自身の専門知識やスキル、アイデアを活かせるので、自身の能力を存分に発揮でき、やりがいを感じられます。仕事を通じて知識やスキルを高められ、エンジニアとしての知的好奇心を満たすことができますし、楽しさを感じることができるでしょう。

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