これから独立を考えているインフラエンジニアの人のなかには、独立はリスクが高いのではないか、稼げないのではないかと不安を抱えている人もいるかもしれません。独立には会社員にない自由な働き方という魅力がありますが、それ以上のリスクが発生する可能性があります。
ここでは、インフラエンジニアとして独立した後に後悔しないためにも、抑えておかなければいけないポイントを紹介します。インフラエンジニアの独立事情から年収、独立できる理由、必要なスキルを解説するとともに、独立時のポイントについても紹介します。
目次
インフラエンジニアの独立事情は?
まず、インフラエンジニアの仕事内容や独立しやすいかについて説明したあとに、独立した人数がどれくらいいるかを解説します。
インフラエンジニアの仕事内容
インフラエンジニアの仕事内容は、企業や施設、WebサービスなどのIT基盤の設計・構築・運用・保守です。
クライアントの要望をヒアリングし、要件に従ってサーバーやネットワーク、データベースの構築、パソコンの設定などを行い、インターネットやIT設備、クラウド環境を利用できるようにインフラの設計や構築を行います。インフラ稼働後には、定期的にOSやソフトウェアのアップデート、メンテナンスなどの保守作業も実施します。個人情報や機密情報が漏洩しないために十分なセキュリティ対策も必要となります。
システムエンジニアとの違いは、システムエンジニアはソフトウェアやシステムを構築しますが、インフラエンジニアはネットワークやサーバー、データストレージなどインフラに関わるハードウェアやシステムの構築を行うというものです。
インフラエンジニアに求められる範囲は広いですが、その分企業としては優秀な人材を求めています。製造業のように設備投資などは必要なく個人の能力があれば仕事ができるので、独立しやすい仕事といえます。
インフラエンジニアの独立はどれくらい?
実際にインフラエンジニアとして独立している人は、どれくらいいるのでしょうか。厚生労働省の職業情報提供サイトの情報の、「この職業で実際に働いている人が多いと感じる『就業形態』」を見てみると、自営・フリーランスの割合は11.4%となっています。独立しているインフラエンジニアは一定数おり、独立することは十分可能ということがわかります。
ちなみに、同じようなITインフラの運用・管理を行う「サーバー管理者」や「システム管理者」の自営・フリーランス率は8.2%となっています。それらと比べるとインフラエンジニアの独立率は高いと言えそうです。
インフラエンジニアが独立できる理由
ここまでインフラエンジニアが独立できる仕事内容であることや、独立している人がどれくらいいるかを見てきました。では、インフラエンジニアがなぜ独立できるのか、その理由を解説していきます。
需要が大きい
需要が大きい点がインフラエンジニアが独立できる理由のひとつと考えられます。
クラウド環境の普及やDX推進の潮流、サイバー攻撃の増加などにより、ITインフラへの投資は進んでいます。それに伴い、インフラエンジニアの需要が高まっているのです。さらに、インフラエンジニアに求められる知識やスキルの幅は広く、企業は能力の高い人材を獲得するのが難しくなっています。現に、令和5年度のインフラエンジニアの有効求人倍率は2.23となっています。
インフラエンジニアを含むITエンジニア不足は顕著で、ではITエンジニアにおいては2025年で36万人、2030年には45万人の人材が不足すると予想されています。「今後もっとも不足する人材」のデータを見ても、インフラ関連の人材は若手人材を中心に一定数が不足すると考えられています。このことから、将来的にもインフラエンジニアは不足することが予想されます。
案件が豊富
案件が豊富で仕事が得られない可能性が少ない点も、インフラエンジニアが独立しやすい理由のひとつです。
市場に案件が少ない場合には、独立したとしても仕事を獲得するのが難しいでしょう。独立したあとにすぐに廃業となってしまうかもしれません。しかし、インフラエンジニアはフリーランス向けや法人向けの案件が豊富にありますし案件が増加傾向でもあるので、独立したとしても案件を得られる可能性が高いです。
2024年に案件数が増加したフリーランス職種ランキングを見ると、1位がインフラエンジニアで、その増加率は約67%となっています。
このようにインフラエンジニアの需要は高まっており、フリーランスや法人として独立したとしても案件が豊富にあるので仕事を獲得でき、事業を継続しやすいといえるでしょう。
報酬の水準が高い
インフラエンジニアが独立しやすい理由として、報酬の水準が高い点も挙げられます。報酬が期待できない職種では独立をしてからのリスクが高すぎるので、独立のハードルが高いです。一方、報酬が高ければ独立してからの事業継続が見込め独立に踏み切ることができるでしょう。
インフラエンジニアはサーバーやネットワーク、関連機器など必要な知識の幅が広く、高度な技術力が要求されます。それに伴って、専門知識が必要ない仕事と比べると報酬の水準が高くなる傾向があります。事実、インフラエンジニアの平均年収は939万円と高水準であるという調査結果もあります。
独立をすると自分で単価を決められたり、仕事を選んだりすることができるので、より高い報酬を期待できるでしょう。
インフラエンジニアが独立するメリットは
インフラエンジニアが独立するメリットについて解説していきます。
年収が上がる可能性がある
年収が上がる可能性があるというのは、独立する大きなメリットです。
インフラエンジニアが独立した場合には、会社員のように決まった年収で働くのではなく、自身が稼働した分を収入とすることができます。ですので、案件を多くこなす、単価の高い案件を得るなどすれば、年収を大幅に上げることができるのです。インフラエンジニアの需要が高いことからも年収を上げられる可能性は高いでしょう。
フリーランスエンジニア働き方調査では、元々の年収が400万円以上であるエンジニアの73%が、収入が上がったと回答しています。また、フリーランスエンジニアになって収入が上がったと約6割(59.52%)が答えたという調査もあります。
自由な働き方ができる
インフラエンジニアは独立することで自由な働きができます。
インフラエンジニアは独立した場合には、会社員と比べてリモート勤務の割合が増えます。サーバーやネットワーク設定の作業が必要なので常にリモートというのは難しいかもしれませんが、必ず出社をしなくてもよい案件は多いです。また、仕事のペースや休日なども自分で設定することができるのも魅力でしょう。
このように、インフラエンジニアは独立をすることで場所や時間にとらわれず自由な働き方ができるのです。
仕事を選べる
インフラエンジニアが独立するメリットとしては、仕事を自分で選べる点も挙げられます。
会社員の場合は指示された仕事をしなければならず、自分で仕事を選ぶことはできないです。独立をした場合には、自分の得意な仕事や報酬が高い仕事、これから技術を高めたい仕事など、自分のしたい仕事を選ぶことができます。いくつか別の仕事を受けて、複数案件を同時に進行することなども可能です。
また、調査から、会社に属するインフラエンジニアは労働環境がハードであることが伺えます。職種の選び直しができた場合にインフラエンジニアを選ばないと答えた人は34%おり、その理由は「不定期なトラブル対応が大変だから」「プライベートを確保しづらいから」「夜間勤務があり、生活リズムが不規則になるから」となっています。これらの問題も、独立して仕事を選ぶことで解決できる可能性があるのです。
勉強の時間を確保できる
勉強時間を確保できることも、インフラエンジニアが独立するメリットです。独立をすれば残業や通勤の時間を減らすことができ、勉強時間を確保できるのです。
インフラエンジニアは日々情報のインプットをするとともに、技術を高めなくてはなりません。しかし、インフラエンジニアは残業時間が長いという調査があり、「インフラエンジニアに関する勉強ができていますか?」というアンケートに対しても、「あまりできていない」と「ほとんどできていない」は半数を超えています。そして、その理由として「勉強時間が確保できないから」が最多の71.2%でした。
インフラエンジニアは独立することで、自身のキャリアアップに必要な学びの時間を確保しやすくなるのです。
インフラエンジニアが独立するのに必要な力は
では、インフラエンジニアはどのような力が身についたあとに独立に踏み切ればよいのでしょうか。
技術スキル
インフラエンジニアが独立するには、一定レベル以上の技術スキルが必要になります。
インフラエンジニアは、サーバーやクラウド、ネットワーク、データベース、セキュリティなど幅広い業務領域を担当しますが、独立するとなると自身の責任でこれらの業務をすべて行えなくてはなりません。そのためには、深い理解と高い技術力が必要になるのです。
WindowsやLinuxのOSなどのOSの知識に加え、各種設定をするためのPythonやRuby、Javaなどのプログラミングスキル、ネットワークやミドルウェアの知識、さらにセキュリティに対する技術も必要でしょう。こういった多くの知識や技術を、独立するまえに身につけておきましょう。
ソフトウェア、サービスの操作スキル
ソフトウェアやサーバーなどのサービスの操作スキルも、インフラエンジニアが独立するのに必要です。インフラエンジニアがインフラ設計・構築の業務を行う上では、サーバー上で稼働するソフトウェアやクラウドサーバーサービスの操作が必須です。
たとえば、サーバー上で複数のアプリケーションを効率的に動かすためのプラットフォームであるDockerやVMware、クラウドサーバーであるAWSの操作、ZabbixやNagiosなどの監視ツールの設定や操作などが必要になるのです。
独立する場合には、こういったソフトウェアやサービスの操作も自分で行うことが多いので身につけておきましょう。
コミュニケーションスキル
インフラエンジニアとして独立して仕事を続けていくには、コミュニケーションスキルも欠かせません。
フリーランスや法人として独立する場合でも、企業に勤めている場合と同じく、クライアントから仕事をいただくことになります。クライアントを得るためには営業やプレゼン、交渉などが必要ですし、仕事をいただいた後にも企業への要望のヒアリング、業務報告、調整などが必要になります。仕事を得て、成果を出していくためにも、こういった場面におけるコミュニケーション力を身につけていなくてはならないのです。
また、インフラエンジニアの仕事は大規模な仕事になり、顧客企業のシステム担当者やパートナーなどと協力してチームで仕事を行うことになります。こういった関係者とスムーズにコミュニケーションを取るためにもコミュニケーションスキルが重要なのです。
経理や確定申告に関する知識
インフラエンジニアが独立する際には、経理や確定申告に関する知識も身につけておいたほうがよいです。
会社員であれば税務に関わる届け出は必要ないですが、独立をするとすべて自分で行わなくてはなりません。年に一度確定申告が必要になりますし、そのために日々の経理、会計作業を行わなくてはならないのです。
また、正しく税務処理をしていないと余分な税金を支払うことになりますし、税務署からの確認が入ることもあります。税金を抑えるための節税の方法などもあるので、税務の知識を身につけるようにしましょう。
資格の取得も有効
インフラエンジニアが独立する場合には、資格の取得も有効です。インフラエンジニアが独立した際には自身の能力が評価の対象になりますが、資格によって能力を客観的に証明できる可能性があるのです。
インフラエンジニアの独立に有効な資格としては、「基本情報処理技術者」や基本情報処理技術者の上位資格である「応用情報処理技術者」、さらにその上位試験として位置づけられる「データベーススペシャリスト」「ネットワークスペシャリスト」「システムアーキテクト」などがあります。
これらの資格を持っていれば、より市場価値の高いインフラエンジニアとして活躍ができるはずです。
インフラエンジニアが独立するときのポイント
では、いざインフラエンジニアとして独立するときにはどのようなポイントに気をつければよいでしょうか。
スモールビジネスから始める
インフラエンジニアとして独立を考える場合には、スモールビジネスから始めるのがよいです。
スモールビジネスとはあまり投資などを行わず、小さく事業を始めることです。初めからインフラエンジニアとして法人を作って人を採用したり、融資を受けたりしてしまうと、ビジネスがうまくいかなかった場合に廃業してしまう可能性が高まります。また、小さくビジネスを始めてみることで、その方向性が合っているかを確認することもできます。
人を雇わず自分だけで独立をする、手元の資金だけで事業を始めるというように小さく事業を始めることで、ビジネスのやり方が合っているかを試すことができ、失敗のリスクを抑えることができます。
いきなり独立が不安という人は副業から小さく始めてみるのもよいでしょう。
人脈や営業力を得る
インフラエンジニアが独立する際には、人脈や営業力を得ることも大事です。
独立したあとには自分で仕事を獲得していかなくてはなりません。そのためには、仕事につながる人脈とクライアントに自分をアピールし、仕事の依頼をもらうための営業力が必要になります。
現に、フリーランス協会の資料では、自分を売る力=セルフブランディングを行うことが、「現在の働き方を続ける/成功させる上で重要な能力・資質」がもっとも必要とされています。
独立前には企業内で人脈を作るとともに、クライアントやパートナーなどともしっかりと関係を作っておくのがよいでしょう。また、フリーランスの交流会や業界の交流会に参加するなどして人脈を広げておくと同時に、営業の力も高めておくのがよいです。
エージェントに相談する
インフラエンジニアが独立する際には、エージェントに相談するのもおすすめです。
フリーランス向けのエージェントは豊富な企業情報、案件情報を持っていますし、さまざまなアドバイスを受けることができます。エージェントは業界知識にも精通しているので、独立における悩みや不安を相談することができますし、案件獲得についてもアドバイスを受けられるのです。
また、エージェントを利用するメリットとして、収入が上がりやすい点も見逃せません。転職エージェント利用者の4割以上が、年収アップに成功したと回答したというデータがあります。
このように、エージェントを利用することでさまざまなメリットがあるので、一度相談してみることをおすすめします。
インフラエンジニアのフリーランス求人はベスキャリITで
インフラエンジニアは独立することで自由な働き方ができますし、大きな収入を得られる可能性があります。独立するにはフリーランスや起業という方法がありますが、法人を起業するには登記などが必要になりますしコストもかかるので、まずはフリーランスとして独立するのがおすすめです。
フリーランスのインフラエンジニアとして独立した際には、エージェントを利用することで営業をしなくても仕事を得ることができます。フリーランス向けの仕事紹介エージェントであるベスキャリITは運営歴が15年以上で全国のさまざまな企業とのネットワークがあり、常時10,000件以上の案件を保有しています。
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