転職で年収が上がりすぎたという話を聞いたことがある人もいると思います。たしかに転職をすることで、大企業に転職できる可能性がありますし、キャリアアップに成功する可能性もあるでしょう。
ただ、こういった転職は難易度が高そうに感じます。本当に転職によって年収を大きく上げることができるのでしょうか。
この記事では、アンケートやデータなどをもとに、転職で年収が上がった人がどれくらいいるか、年収が上がる人の特徴とはどのようなものかを解説します。転職で年収を上げるためのポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
転職で年収は上がるもの?
転職で年収は上がるのでしょうか。ここでは、データをもとに転職をしている人の割合やどれくらいの人が年収が上がっているかを解説します。
どれくらいの人が転職している?
まず、どれくらいの人が転職をしているのでしょうか。
「転職動向調査2024年版(2023年実績)」によると、2023年の正社員の転職率は7.5%でした。調査を開始した2016年と比較すると、転職率は約2倍となっており、近年では転職をする人の割合は高い水準を保っていることがわかります。
性別と年代を見てみると、転職をしている人では、30代の男性が最も多く23.3%となっています。また、2023年に転職した人では、30~50代のミドル層の男性が47.6%と、約半数がこの層であることがわかります。ミドル層の男性が転職した場合には、年収が上がるように感じます。
転職で年収が上がった人はどれくらいいる?
では、転職で年収が上がった人はどれくらいいるのでしょうか。
上のデータによると、転職によって年収が上がった人というのは全体の39.1%でした。半数に満たないくらいが年収アップに成功しているようです。
さらに、30代男性では45.1%、40代男性では45.4%、50代男性では32.5%が、年収を上げることに成功しています。ちなみに女性の場合には、30代女性では38.5%、40代女性では29.0%、50代女性では31.1%でした。女性よりも男性のほうが転職で年収が上がる傾向にあるようです。
もちろん、転職で年収が下がる可能性もありますが、転職で年収が下がったと回答したのは21.7%というデータもあります。転職で年収が下がるよりも上がる可能性のほうが高いといえるかもしれません。
転職でどれくらい年収が上がる?
では、転職でどれくらいの年収が上がるのでしょうか。
「転職動向調査2024年版(2023年実績)」によると、転職前の平均年収は472.5万円ですが転職後は489.6万円となり、17.1万円増加となっています。
年収の上がり幅は男性のほうが大きく、20代男性では平均26.1万円、30代男性では平均20.9万円、40代男性では平均26.5万円増加しています。ただし、50代男性では12.8万円の減少でした。男性は40代までは年収を大きく増加させられる可能性があることがわかります。
女性でも、20代女性は3.3万円、30代女性では12.5万円、40代女性では24.6万円の増加、50代女性で8.1万円の増加となっています。
異業種転職で年収が下がる?
転職には同業種での転職と異業種への転職がありますが、これらで年収は変わるのでしょうか。
エンジャパンによる異業種転職したミドルへの調査によると、異業種転職を行った転職者のその後の年収は、「変わらない」が51%で最も多い結果となりました。ミドルの転職なので、経験や知識も多いことから「~50万円増加」が29%、「50~99万円増加」が20%となっており、一定数増加しています。
ただし、「~50万円減少」が31%、「50万円~99万円減少」が22%となっており、減少した人もいることがわかります。
異業種転職は年収が下がる可能性がありますが、変わらない場合や上がる場合のほうが多いようです。
転職で年収が上がる人の特徴
転職で年収が上がる人と下がる人がいますが、年収が上がる人の特徴とはどのようなものでしょうか。
実績がある
実績があることで年収は上がりやすくなります。
前職で実績を作っていれば、入社後に同じように成果を上げてくれると転職先の企業は期待するでしょう。入社前にある程度売上や利益がわかるので、それに見合った給与を設定してもらえる可能性があります。前職のノウハウを得られるというメリットもあるので、長期的な利益も踏まえて年収を設定してもらえる可能性もあるでしょう。
こういった理由で、実績がある人材の場合には年収を高めやすいといえるかもしれません。
需要の高いスキルがある
需要の高いスキルを持っていることも、年収アップにつながる要素の1つです。
そのスキルを持っている人の数自体が少なかったり、需要が高まりすぎて人材が不足していたりすると、企業は採用をするために給与を高く設定します。このようなスキルを持つことで、年収を高めることができるでしょう。
需要の高いスキルとは、専門的な知識やスキル、資格を必要とするスキル、最先端の技術などが考えられます。例えば、いま話題になることの多い、クラウドやAI、IoT、自動運転、ロボットなどに関する知識・プログラミングスキルなどは需要が高いといえるでしょう。
若手世代
若手世代は転職によって年収が上がりやすいと考えられます。
厚生労働省の「令和2年転職者実態の概況」の「表13 性・年齢階級・事業所規模・現在の勤め先の就業形態、転職による労働条件(賃金)の変化別転 職者割合」を見ると、「年収が増加した」と回答したのは、20〜24歳では46.5%、25〜29歳では46.3%、30〜34歳では48.6%となっています。
他の年代はこれらよりも低いので、20~34歳までの若手世代というのは年収が上がりやすいといえるでしょう。
キャリアアップの転職である
キャリアアップの転職であることも、転職で年収が上がる人の特徴です。
キャリアを高めるための転職では、これまでのポジションより難易度が高く、責任が重いポジションに転職することになるでしょう。そういったポジションは基本的に給与の水準が高いです。
また、キャリアアップの転職の場合には、これまでに蓄えた知識やスキルを活かして転職先の企業で活躍をしてもらえると考えるので、企業も人材に対して期待をし年収が高くなるでしょう。
このような理由でキャリアアップの転職では年収が上がりやすいのです。
転職で年収を上げるポイント
転職で年収が上がる人の特徴を説明しましたが、ほかにも転職で年収を上げるためにはどのようなことができるでしょうか。そのポイントを紹介します。
規模の大きな会社に転職する
転職で年収を上げたいと思った場合、現在の企業よりも規模が大きい企業への転職を狙うのがよいでしょう。
厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」の企業規模別の賃金比較を見ると、2022年の月額賃金(男女計)は、常用労働者10~99人の小企業では28万4,500円、100~999人の中企業では30万3,000円、1,000人以上の大企業は34万8,300円となっています。
このように、企業規模が大きくなるに従って賃金は高くなる傾向があります。最も賃金が高くなる55~59歳では、小企業35万800円、中企業40万9,900円、大企業48万3,800円となり、月額賃金で小企業と大企業では13万円以上もの差が生じます。これは年収で考えると156万円も差が出ることになります。
転職で年収を上げたいなら、企業規模が大きい会社を選びましょう。
能力を最大限活かせる仕事を選ぶ
転職で年収を上げるためには、自身の能力を最大限活かせる仕事を選びましょう。
これまでに身につけた知識やスキルを活かせる仕事であれば、転職先でも即戦力として扱われ年収が上がる可能性があります。また、コミュニケーションを行う仕事、PCを使う仕事、資格を活かせる仕事など、自分の特性を活かせる仕事であれば成果を出しやすく年収も上げやすいでしょう。
しかし、自身のスキルや特性を活かせない仕事だと、イチからキャリアを積んでいくことになるので、未経験者と同じような年収になってしまう可能性があります。
自分のスキルや特性を一度棚卸し、能力を最大限活かせる仕事を選ぶようにしましょう。
実力主義の会社を選ぶ
年収を上げるのに、実力主義の会社を選ぶのもポイントです。
実力主義や成果重視の会社の場合、自身が達成した成果によって給与が上がったり、インセンティブをもらえたりします。これまで年功序列型の会社で働いていた場合、実力があり成果を上げていたとしても給与は変わらないでしょうし、なかなか年収も上がりません。そんな人が実力主義の会社に転職すると、大きく年収を上げられるかもしれません。
能力がある、成果が上げられると自信がある人は、実績に応じて給与が上がる会社を選びましょう。
給与の交渉を行う
年収を上げるためには、給与の交渉も重要なポイントです。
転職の面接においては、給与の確認が行われることが多いです。その時に給与の交渉を行うことで年収を上げられる可能性があります。前職の給与や自社の基準をもとに給与額が決められることが多いですが、提示額よりも高い給与がほしい場合には、交渉を行いましょう。
それだけ自身のスキルや転職後の活躍に自信があると好意的に受け取られる可能性がありますし、高い給与の約束をしてもらえるかもしれません。ただし、キャリアやスキルなどがないのにも関わらず給与だけを求めても、年収を上げることは難しいですし、担当者の心証を悪化させることもあるので注意が必要です。
転職エージェントに相談する
転職エージェントを利用することで、年収を上げられる可能性があります。
こちらの調査データによると、転職エージェント利用者の42.9%が転職で年収アップに成功したそうです。また、転職エージェント利用者は、非利用者と比べ転職時の年収アップ平均金額が9.2万円高いとのデータもあります。
これは、転職エージェントが適性年収を見極めて伝えてくれたり、自身だと伝えられないような希望の金額を伝えてくれたりすることで年収が高まったと考えられます。転職先企業との関係値を築いていることや、多くの企業の年収を見ているからこそ、年収交渉に成功しているとも考えられるでしょう。
転職をする際には転職エージェントに相談するのがおすすめです。
年収の高い業界・職種を選ぶ
年収を上げたいのであれば、年収の水準の高い業界や業種を選ぶのがよいでしょう。
年収の水準が高い業界や業種であれば、転職時に提示される年収が高くなりやすいですし、長期的に見たときにも年収が上がりやすいと考えられるでしょう。
業界や業種によって、給与というのは大きく変わります。収益率の高い業界や景気の良い業界、知識やスキル、資格などが必要な職種などは給与が高くなる傾向にあります。こういった業界や職種を目指すようにしましょう。
転職で年収が上がる業界・職種とは
では、転職で年収が上がるような業界や業種とはどのようなものでしょうか。
業界
年収が上がる可能性がある業界としては、業界全体の賃金水準が高い業界です。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、以下のようになっています。
産業別にみた賃金は「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も高く、「学術研究、専門・技術サービス業」「情報通信」が続きます。インフラに関係する業界や学術的な研究や技術サービス、IT業界の年収が高いということがわかります。
これらの業界に転職することで、年収を上げられる可能性があります。
職種
次に、年収が上がりやすい職種を見てみます。
厚生労働省が公表する「令和4年賃金構造基本統計調査」をもとにしたデータで、具体的な職業を確認してみましょう。
- 航空機操縦士
- 医師
- 大学教授
- 法務従事者
- 管理的職業従事者
- 大学准教授
- 歯科医師
- その他の経営・金融・保険専門職業従事者
- 公認会計士、税理士
- 小・中学校教員
- 研究者
- 著述家、記者、編集者
- 大学講師・助教
- 獣医師
- 高等学校教員
- システムコンサルタント・設計者
- 機械器具・通信・システム営業職業従事者
- 電気・電子・電気通信技術者
- 発電員・変電員
- 企画事務員
- 建築技術者
- 化学技術者
職種の上位は、航空機操縦士や医師、士業、研究者など、資格が必要なものなどが多くなっています。それ以外の職種としては、管理的職業従事者(会社役員や企業の課長相当職以上のこと)、記者・編集者、システムコンサルタント・設計者、機械器具・通信・システム営業職業従事者、電気・電子・電気通信技術者、建築技術者、化学技術者などとなっています。
これを見ると、年収を上げるためには、管理職や記者、編集者以外はいずれも技術者の年収が高いようです。システムや機械、電気・電子、建築、化学など分野の技術者は、専門知識やスキルが必要ということもあって年収が高いと考えられます。
上記の業界かつ、これらの職種の仕事であれば年収が高くなると考えられます。つまり、電気・ガス・熱供給・水道などのインフラにおける技術職や、電気や建築、化学などの専門的な技術職、ITエンジニアなどは年収が高くなるでしょう。
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転職での年収交渉における注意点
転職では年収交渉が重要ですが、エージェントに依頼せずに自分で交渉する場合には以下の点に気をつけましょう。
内定前に交渉する
年収交渉は内定前に行いましょう。
内定後に労働条件通知書が提示された後では、給与交渉は難しくなります。採用の面接の際など、企業側から質問をされたタイミングで交渉するのがよいでしょう。面接で給与の話が出なかった場合や、面接での交渉額から変更をしたいなどの場合には、必ず内定の前に年収交渉の機会を設ける必要があります。
年収の話は正直に伝えづらいかもしれませんが、交渉しないと内定後に入社するかを迷ってしまうかもしれません。事前に交渉をするようにしましょう。
業界の水準を調べておく
年収交渉を行う前に、転職を考えている業界の給与の水準を調べておくことが重要です。
年収の交渉を行う際には、一定の妥当性が求められます。業界の水準よりも過剰に大きい額を求めてしまうと、悪印象を与えてしまう可能性があります。また、業界の水準よりも低い年収を提示してしまうと、後々後悔することになるでしょう。
業界の年収の平均データなどは、厚生労働省や転職サービスなどが調査しているので参考にしてください。また、転職エージェントに聞くというのもおすすめです。キャリアや年齢などを踏まえて、最適な年収を教えてくれるでしょう。
最低限前職と同額で
転職において年収を上げるのが難しいという場合には、最低限前職と同額を提示するのがよいでしょう。
最低限の額を決めておかないと、企業側から低い額を提示された時についその額で契約してしまったり、自分から低い金額を言ってしまうかもしれません。また、自分から低い金額を提示してしまうと、転職で年収を上げることが難しくなってしまいます。
最低限、前職でもらっていた年収と同額を提示するようにしましょう。
根拠を明確にしておく
転職で希望の年収を提示する場合には、根拠を明確にしておきましょう。前職よりも高い年収を提示したとしても根拠がなければ、企業側としてもその額を採用するのは難しいでしょう。
前職でこれくらいの実績がある、スキルや経験がある、入社後にどのようなことができる、どのような貢献ができるなど、希望の年収を要求する理由を根拠を提示するようにしましょう。また、前職の給与から〇%高い金額、業界の水準のデータをもとに計算した金額などと説明できるのも有効でしょう。
転職先の企業の過去の年収の実績を調べるのもよいです。妥当な年収を、根拠をもとに提示しましょう。
まとめ
今回の記事では、転職によって年収が上がった人はどれくらいいるのか、どれくらい上がるのか、転職で年収を上げるためにはどのような点に気を付けるべきかなどについて解説しました。
ポイントを抑えることで、転職によって年収を上げることは可能です。年収が上がる人の特徴を知るとともに、業界や業種に気をつけ、年収交渉を正しく行うことで、転職で年収を上げることができるでしょう。転職で年収を上げたいなら、エンジニアなどの技術職がおすすめです。ぜひ検討してください。
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