接客業は、日々人と接することができますし人気の職業です。飲食業や宿泊業、娯楽産業など、接客業は幅広い業界に仕事がありますし職種も様々なので、興味を持つ人も多いと思います。
ただ、接客業の仕事を辞め、別の業界に転職をするという人が多いのも事実です。そして、接客業からの転職に失敗する人も一定数いるので、転職における注意点は知っておいたほうがよいでしょう。
この記事では、接客業からの転職を成功させるための方法を解説するとともに、接客業から転職するのにおすすめの仕事を紹介します。
目次
接客業の転職事情
まず、接客業で働く人の転職事情を解説します。接客業からの転職にはどのような傾向があるのでしょうか。
接客業は離職率が高い
接客業は離職率が高い傾向にあります。厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果」を見ると、離職率は「宿泊業,飲食サービス業」が26.8%、「生活関連サービス業,娯楽業」では18.7%となっており、すべての職種のなかでも上位にあります。
このように、宿泊や飲食、娯楽などで接客を行う職種においては、すべての職種のなかでも離職率が高く、転職する人が多いということがわかります。
異業種転職が増えている
接客業に限らず、現在の転職者は異業種かつ異職種に転職する人が多くなっていることがわかっています。2022年度の転職パターンの分析によると、「異業種×異職種」が39.3%で最多となっています。2016年までは「異業種×同職種」が最も多かったのですが、近年まったく新しい職種への転職が増えているのです。
接客業においてもこの傾向にあると考えられますので、接客以外の仕事に転職をしている人が多いと思われます。では、接客業から異業種や異職種に転職をする理由とはどのようなものなのでしょうか。
接客業から異職種に転職した男女500人を対象にした意識調査を見ると、接客から異業種に転職した理由としては、「接客のストレス」が最も多く、次に「勤務日時への不満」「他職種に挑戦したい」「体力的につらい」が続く結果となっています。
接客においてはお客様からのクレームや無理な相談を受けることもあり、ストレスが大きいと思われます。また、接客業では土日出勤も多いですし、朝早くや夜遅くまで働かなくてはならないことも多いです。さらに、立ち仕事の場合も多く、体力的に負担を感じるようです。
ただし、こういったネガティブな理由だけでなく、接客以外の他の職種に挑戦したいというポジティブな理由で転職をする人も多いようです。
接客業からの転職におすすめの仕事
接客業から異業種や異職種へ転職をする人は多いですが、接客業からの転職におすすめの仕事にはどのようなものがあるでしょうか。
接客業から転職におすすめの業界・職種
リクルートエージェントの異業種転職をした人の調査を見ると、「小売・卸売・サービス業界」から転職した人では「インフラ・官公庁・その他」「機械・電気業界」「IT・通信業界」へ就職した人が多い結果となっています。さらに、「旅行・エンタメ業界」から転職した人では、「小売・卸売・サービス業界」「インフラ・官公庁・その他」「物流・運輸業界」「機械・電気業界」「IT・通信業界」が多くなっています。
また、異業種転職をした人が多い職種というのは、接客業からの転職でも採用してもらえる可能性が高いと考えられます。この調査で異業種転職者が多かった職種は、「営業・販売・カスタマーサービス(62.1%)」、次いで「SE・ITエンジニア(61.9%)」「エンジニア(設計・生産技術・品質管理)(58.3%)」となっています。
以下で、これらの職種の仕事内容や接客業の経験を活かせるポイントを解説していきます。
営業
営業職は、接客業からの転職におすすめの職種です。営業職では、接客業で培ったコミュニケーション力やヒアリング力、プレゼンテーション能力などを活かすことができます。
また、接客業では日々お客様に対してサービスを行うので、相手の求めるものを察知し提供する能力が養われます。営業職においてもこの能力は重要であり、顧客のニーズをヒアリングし、コミュニケーションを取りながら説明やプレゼンテーションを行い、購買行動に導いていくことが求められます。
特に、小売店などでの販売といった接客を行っていた人は、営業で成果を出せるかもしれません。
カスタマーサービス
カスタマーサービスも、接客の経験が活かせるお仕事です。
カスタマーサービスでは、注文の受付や注文方法の説明、導入サポート、質問への回答、クレーム対応、操作方法のガイド、修理・交換の受付などを行います。カスタマーサービスでは、こういったお客様からの問い合わせに対して、素早く柔軟に対応する必要があります。
接客業では、お客様からの対面での質問や問い合わせに対応することも多く、カスタマーサービスと業務内容が似ている部分も多いでしょう。ただし、カスタマーサービスでは、電話やチャットなどの遠隔サポートツールを利用して行うことが多く、接客業とは異なるスキルを学ぶ必要はあります。
SE・ITエンジニア
SEやITエンジニアは、接客業からの異業種転職がしやすい職種です。
経済産業省の資料によると、IT人材の需給ギャップは2025年で36万人、2030年には45万人とされています。このようにIT分野ではエンジニアが不足しているので、異業種からの人材でも受け入れて育成するという傾向にあるでしょう。SEやITエンジニアを採用している企業では、研修を行いイチから人材を育成している会社もあるので、未経験者であっても転職できる可能性があります。
また、SEやITエンジニアなどはプログラミングスキル以外にも、コミュニケーションが重視される職種です。接客業で培ったコミュニケーション力を活かすことができるでしょう。
機電エンジニア
設計・生産技術・品質管理などを行う機械や電子・電気分野のエンジニアも、接客業からの転職にはおすすめです。
平成30年の経済産業省の資料によると、「5年後技術者が不足すると予想される分野」として「機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)」がもっとも高い12.4%となりました。また、半導体分野はエンジニアが不足しており、2022年度の半導体エンジニアの求人は17年度に比べ3.8倍に急増しているという情報もあります。
このように、機電分野のエンジニアは人材不足なので、接客業からの転職においても採用される可能性があります。そして、こういった分野の企業では、自社独自の工程や方法で製造を行うことが多く、研修を行っていることも多いので、経験がなくても技術者への道を歩むことができるでしょう。
設計・生産技術・品質管理などでは他部門や取引先企業とのコミュニケーションも多く、接客業で培ったスキルや経験も活かせます。
接客業からの転職での志望動機のポイント
接客業からの転職では、書類審査や面接における志望動機が重要です。接客業の仕事内容がきついからや給与が低いからといった理由から転職をしたという説明では、採用をしてもらえないでしょう。
異業種への転職の場合、未経験ということで企業から敬遠されてしまうかもしれず、労働環境や条件などへの不満を理由に辞めたというようなマイナスの印象を与えるのは避けたほうがよいです。
まずは応募する企業の事業内容や仕事内容、カルチャー、理念、ビジョンなどを深く知り、自身がどのようなところに魅力を感じているか、接客業での経験からどのように貢献できるかを話すのがよいでしょう。また、志望のきっかけとなった実体験のエピソードを語るなども有効です。
接客業からの転職でアピールすべきポイントとは
接客業からの転職は異業種転職になるので、経験者であることの強みをアピールすることができません。だからこそ、評価してもらえるポイントを前職の経験から見つけてアピールしなくてはなりません。アピールするのによいポイントを以下で解説します。
コミュニケーション力
コミュニケーション力は、接客業からの転職においておすすめのアピールポイントです。
接客業においては、業務の中で日常的に人と接することになります。そういったなかで、人と会話をしながら相手の要望を察知し、それに応えるためにスムーズにコミュニケーションを取る能力を養うことができます。
人が関わる仕事においてはコミュニケーションは重要とされますので、そういった仕事に転職をする場合には、コミュニケーション力をアピールするのがよいでしょう。
対応力
対応力も、接客業で身につけることができる能力であり、転職の際にはアピールするのがよいでしょう。
何かトラブルが発生したときに臨機応変に対応するための力が対応力ですが、接客業では常に人と関わるからこそ予期しないトラブルが起こります。それらに柔軟に対応をすることができる力を培っていれば、転職後の仕事でトラブルが起こった時にも問題をスムーズに解決できると評価をしてもらえるでしょう。
対応力は顧客と接する多くの仕事において必要になりますので、転職時にもアピールするのがよいでしょう。
マナーや接客スキル
マナーや接客スキルも、接客業からの転職ではアピールすることができます。接客業では、マナーや接客スキルが求められます。自然と正しいマナーや接客スキルが身についているでしょう。
顧客と接する機会のある仕事においては、マナーや接客スキルが身についているかは評価の要素のひとつとなる可能性があります。営業やカスタマーサービスなど、言葉づかいやマナーが求められる職業を志望する場合にはアピールするとよいでしょう。
マネジメントスキル
接客業において、リーダーや責任者としてスタッフの育成や管理を行った経験がある場合には、転職においてもマネジメントスキルをアピールするのがよいです。
多くの仕事において、昇進をして管理職になる場合にはマネジメントスキルが求められます。転職後すぐに管理職にならなくても、マネジメントスキルがあるということは、責任感があることやチーム内でコミュニケーションをスムーズに取れることなども示すことができます。
チームで仕事が多い会社に転職をする場合などは、マネジメントスキルをアピールしましょう。
語学力
語学力も、接客業からの転職でアピールできる可能性があります。
外国人への接客が多い仕事に就いていた場合、日々の業務のなかで語学力が養われているでしょう。語学力がある人は、接客業から転職する場合にもその能力を活かせる職種に転職をすると、より採用されやすいですし、よい条件で転職をできるかもしれません。外資系企業への転職や海外での就職もしやすいはずです。
こういった仕事に転職する場合には、語学力をアピールしましょう。語学力をアピールする場合には、語学力を証明する資格を取得したり、語学力の裏付けとなる経験を説明したりするのがよいです。
接客業からの転職を成功させる方法
接客業からの転職を成功させるためにはポイントがあります。
自己分析で強みを明確にする
接客業からの転職では、自己分析を行うことで自身の強みを明確にすることが大切です。
接客業では様々な業務を行うことになりますし、自身に身についているスキルなどを見落としがちです。また、自分では一見当然のようなことも異業種では評価される可能性があるので、しっかりと経験やスキルを洗い出し、自己分析を行うようにしましょう。そして、分析によって判明した強みを、応募企業でどのように活かすかまで明確にする必要があります。
接客業で身についたことは、どのような経験から身についたのか、前職ではどのような成果を上げたのかなどを具体的に説明できるようにすることで、より説得力を持たせることができます。
資格を取得する
接客業からの転職を成功させるためには、資格を取得するのもひとつの手です。
接客業から異業種・異職種の仕事に転職をするときには未経験となるので、イチから業務や知識を学んでいかなくてはなりません。しかし、資格を取得することで、あらかじめ知識やスキルを習得することができます。もちろん、実務に必要なレベル・内容とは異なる可能性はありますが、経験の不足を少しでも補うことができるでしょう。
資格を取得しているということで、ゼロからスタートする人よりも評価を得られる可能性もあります。熱意や努力も評価してもらえるでしょう。
職業訓練やスクールを利用
接客業からスキルが必要な職種に転職したい場合には、職業訓練やスクールを利用するのもおすすめです。
エンジニアなどの職種では、知識やスキルが必要になります。こういった職業では、未経験者を採用して入社後に研修を行うような会社もありますが、基礎的な知識やスキルがあった方が採用をしてもらいやすいです。
職業訓練やスクールなどでは、未経験者に対して基礎知識や自分でプログラミングを行うスキルを丁寧に教えてくれます。転職先の斡旋なども行ってくれるところもあるので、未経験から転職をしたいという人は選択肢のひとつに入れるのもよいかもしれません。
エージェントにサポートしてもらう
転職エージェントに依頼してサポートをしてもらうのも、接客業からの転職を成功させるにはおすすめです。
転職エージェントは各業界の情報に精通していますし、あらゆる転職者の支援をしているので接客業からの転職者も多く見ています。その知見を用いて、より成功しやすい転職先を紹介してもらうことができるでしょう。
また、転職エージェントのなかには、面接対策や職務経歴書の添削などのサポートを行っている企業もあります。接客業から異業種に転職する時には、どのように対策をすべきかがわからないかもしれませんが、エージェントに依頼をすれば安心です。
転職エージェントを利用した転職者のほうが、利用しない転職者に比べて年収アップの成功率が高いという調査もあるので、年収を上げたいという方は利用することをおすすめします。
エンジニアへの就職・転職はベスキャリで
接客業からの転職では、どのように自身をアピールするか、どのような仕事を目指すか、成功させるためにどのように工夫をするかが重要です。自身の経験や強みを考えるとともに、採用してもらえるような仕事を選びましょう。
エンジニアは、人手不足なので採用の可能性がありますし、手に職をつけられる職業ですので接客業からの転職に特におすすめです。未経験でも採用している企業は多いですし、研修を行っているのでイチから学ぶことができます。
ベスキャリは、機電や建設、IT分野のエンジニアの求人サイトを15年以上運営しています。専任のアドバイザーがマンツーマンでサポートを行うので、未経験でも面接対策や職務経歴書のアドバイスが受けられ安心です。研修などもあるので、未経験者でも基礎知識をつけてから転職をすることができます。
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