機械系エンジニアの将来性が気になるという人も多いと思います。
機械系エンジニアはモノづくり大国である日本において、大きな需要のある職業です。しかし、AIやIoTなどによって近年では機械製造の世界も変化が激しくなっています。将来も機械系エンジニアの需要は高いのでしょうか、そして安心してキャリアを築くことができるのでしょうか。
ここでは、客観的なデータをもとにして機械系エンジニアの将来の需要やリスク、将来も活躍するための方法などを解説します。機械系エンジニアの職種や仕事については以下の記事で詳しく解説しています。
目次
機械系エンジニアの将来に影響する要素
機械系エンジニアの将来にはどのような変化が起こると予想されるでしょうか。影響を及ぼすことが予測される要素を解説します。
AIの発達
AIの発達は機械系エンジニアの将来に影響を及ぼします。『AIが日本の雇用に与える影響の将来予測と政策提言』では、『「AI・IoT の導入が進展した場合増える(減る)見込みの仕事」の問いに対して、「増える見込み」と答えた仕事は「技術系専門職」」が最も多かった』とされています。
ただし、『「減る見込みの仕事」 としては「一般事務・受付・秘書」「総務・人事・経理等」が多かった。その次に多かったのは「製造・生産工程・管理」であり、製造現場の熟練作業員も、AI、IoT により減少すると見込んでいる企業がそれなりの比率存在していることがわかった』とされています。
これらの結果を見ると、AIやIoTを組み込むような製品の製造の需要は高まるけれども、機械製造の工程においては、AIなどが人の代わりに作業を行うことで、エンジニアの仕事が減る可能性があることがわかります。
ソフトウェアの進化
ソフトウェアの進化も、機械系エンジニアの将来の業務に影響を与えるでしょう。機械系エンジニアは設計時にCADを用いて設計することが多いですが、近年ではこのソフトウェアにAI技術が用いられています。
CADにおいて設定した材料や製造方法などの条件をもとに、AIが設計図を複数提案してくれるものや、Excelへ寸法を入力するだけでCAD図面を作成してくれるものなどがあります。また、AIがCADの操作支援を行ってくれるものなどもあります。
AIが設計ソフトウェアに組み込まれることで、機械設計エンジニアは作業の自動化を行ったり、効率化したりといったことが可能になるのです。今後も新しい技術を備えたソフトウェアは開発されるでしょうし、機械系エンジニアはこういったソフトウェアの進化をチェックしながら、うまく取り入れて業務の効率化を行う必要があるでしょう。
外国
外国も機械系エンジニアの将来に影響を与えます。海外メーカーが日本に進出してくることで、日本の製造メーカーの仕事が減る可能性があります。近年も中国や韓国のメーカーが日本に進出してきています。
また、「日本の経常利益全体に占める海外比率(海外輸出+受取収益)は、2004年:35%(4.1兆円) ⇒2008年:58%(3.9兆円)。以降、過半を海外で稼ぐ構造」になっており、将来的にも海外の国による影響を受けやすいといえるでしょう。
経済
製造業は経済の影響を大きく受けます。日本の経済状況によって製品の売上が大きく変わってきますし、為替によって素材や部品の価格が大きく変わります。輸出を行っている場合はこれらによって大きく利益が変わるでしょう。
そして、このような経済による影響から、機械系エンジニアの仕事が増減することが予想されます。設計時にコストカットが求められたり、残業がなくなることで給与が減るなどが起こりえるでしょう。また、派遣社員や業務委託などの場合には、継続や雇用がなくなる可能性もあります。
機械系エンジニアの将来についてよくある不安
機械系エンジニアの将来に影響を与える要素には様々なものがありますが、将来についてよくある不安について解説しておきます。
仕事がなくならない?
将来、仕事がなくならないか、仕事が減らないかということは機械系エンジニアが不安に思うことだと思います。業界全体の仕事が減ってしまったり、製造業自体が衰退してしまうと、将来生活が厳しくなってしまいますし、ほかの仕事に就かなくてはならないということになってしまいます。
結論から述べると、機械系エンジニアの仕事がなくなることはないといえます。というのも、製造業は日本のGDPにおいて2割程を占め、そのなかでも輸送用機械や電気機械、一般機械などの約35%ほどとなっています。
また、「過去25年の日本の製造業の売上高は400兆円程度で横ばい」というデータもあり、今後も機械製造の需要は大きく変わらず続くのではないかと考えられ、機械設計の仕事は常に大きな需要があるでしょう。
将来の年収は?
機械系エンジニアに就職したとして、将来に十分な年収は期待できるのでしょうか。また、将来的に年収が下がるということはないでしょうか。
厚生労働省の『職業情報提供サイト』の年齢別の年収グラフを見ると、機械系エンジニアで年収がもっとも高くなるのは55~59歳で769.58万円となっています。
一方、日本の平均年収は50~54歳でもっとも高くなり、737万円となっています。このことから、機械系エンジニアは技術や知識を身につけることで、平均よりも高い給与をより長く得ることができるといえるでしょう。
また、機械系エンジニアが属する製造業は、「平均賃金水準は全産業の中でも高く、雇用規模が非常に大きい」とされています。だからこそ、将来に収入が得られなくなるということもなく、安定した収入が得られると考えられるはずです。
長く働ける?
機械系エンジニアは長く働くことができるのでしょうか、そして何歳まで働けるのでしょうか。
年齢別の年収グラフを見ると、70歳以上でも384.47万円の平均収入となっており、定年後でも一定の給与が得られていることがわかります。このことから、企業に就職をしていれば、長く働ける仕事だといえるでしょう。
ただし、『職業情報提供サイト』では、機械系エンジニアの平均年齢は41.6歳となっています。若い人材が多い業界でもあるので、長く働くためにはマネジメントスキルや経験の蓄積が必要でしょう。
体力が必要?
機械系エンジニアは長く働ける仕事ではありますが、体力が必要なのでしょうか。将来年齢を重ねたときに、肉体に負担の大きい仕事では大変な思いをすることになってしまいます。
機械系エンジニアの業務としては、設計やシミュレーション、交渉、ミーティングなどが主となります。設計やシミュレーションの多くはパソコンを利用して行いますし、業務は知識労働といえるでしょう。
機械系エンジニアのなかでも製造部門では肉体労働などもありますが、基本的に年齢が上がると管理職になることが多く、体力的に難しくなるということはないと考えられます。
将来活躍できる機械系エンジニアになる方法
では、将来も活躍できる機械系エンジニアになるためにはどうすればよいでしょうか。
知識やスキルを高める
将来的にも活躍できる機械系エンジニアになるためには、知識やスキルを高めるのが重要です。
製造業のエンジニアに対する調査では、製造業系エンジニアのうち、機械系エンジニアでは35.1%がリスキリングに対して興味があるという結果になっています。また、個人でのリスキリングへの取り組みとしては、「すでに取り組んでいる」が7.7%、「これから取り組む予定」は18.8%でした。
このように、機械系エンジニアでは新しくスキルを身につけている人が多いからこそ、将来活躍するためには自身もリスキリングを行う必要があります。逆に、多くの人が行っているなかでリスキリングをしていないと、知識やスキル面で劣ってしまう可能性もあるので注意が必要です。
また、『エンジニアの8割が自身の専門分野以外の知識や経験が「必要になったことがある」と回答』という調査もあります。複数分野の専門知識を学ぶ必要もあるでしょう。
創造力を高める
創造力を高めることも機械系エンジニアには必要です。
クライアントやユーザーの課題を解決するために機械があります。機械設計エンジニアはより効率的に課題を解決するための設計をしなくてはなりませんし、最適な構造や技術を用いなくてはなりません。そのために創造力が必要なのです。
また、機械エンジニアの職種には、企画や生産管理、テストなど様々な業務がありますが、こういった部門でも問題を解決する方法を別の視点から解決するクリエイティビティが重要となります。将来的にも活躍するために創造力を高めましょう。
コミュニケーション力を高める
コミュニケーション力を高めることも、機械系エンジニアとして活躍するには重要な要素です。
機械エンジニアの仕事はたいていの場合、チームで行うことになります。そのため、チームでのコミュニケーションを円滑に取ることが求められます。また、顧客へのヒアリングや交渉、関係部門やパートナーなどとのコミュニケーションなども行うので、コミュニケーション力が重要となります。
また、機械設計エンジニアの将来には業務にAIの導入が進むと考えられますが、AIはコミュニケーションを行うことができないので、必須の能力となります。コミュニケーション力を高めましょう。
マネジメントスキルを身につける
マネジメントを習得するのも、将来活躍するために有効な可能性があります。
機械エンジニアとしてキャリアを積んでいくと、プロジェクトをマネジメントしたり、チームメンバーを管理したりするポジションになっていくので、マネジメント能力が求められることになります。マネジメントのノウハウを学んでおくことで、将来的により重用してもらうことができるでしょう。
管理職として職位が上がることで、年齢を重ねても企業で長く働くことができるはずです。
資格を取得する
将来的にも活躍するためには、資格の取得もおすすめです。
機械エンジニアの業務に関係する資格としては、技術士やCAD利用技術者試験、機械設計技術者、機械・プラント製図技能検定などがあります。こういった資格を取得することで、自身のスキルや知識を証明することができ、将来の活躍につながるでしょう。資格があれば転職をする場合にも有利になるはずです。
英語を勉強する
将来も活躍できる機械エンジニアになるためには、英語を勉強するのもよいかもしれません。
英語を理解できれば、海外の最新の技術についての情報や論文などを読むことができるので、知識やスキルを高めることができるでしょう。また、英語を話せれば、海外の工場への赴任などもしやすくなるので、グローバルな企業で働きやすくなります。
外資系企業や海外の製造企業などに転職することもできます。キャリアアップができますし、より収入を増やすことができるはずです。
将来も活躍できる機械系エンジニアに就職・転職する方法
長く働き、将来も活躍できるエンジニアになるためには、どのような企業に就職・転職するかが重要です。ただし、機械系エンジニアには専門的な知識やスキルが必要になるだけでなく、企業内の情報などはオープンになっていないことが多いので、就職・転職する方法には注意が必要です。
学校に通う
機械系エンジニアを目指すのであれば、専門学校や大学に通うのがおすすめです。
機械系エンジニアの仕事では、材料力学・機械力学・流体力学・熱力学の4力学や制御工学、熱力学、電気・電子の知識など、幅広い理系知識が必要になります。企業に入社後に学んでもよいですが、学校で学んでおくことで基礎をしっかりと作ることができますし、より成長しやすいでしょう。
また、大学や専門学校は企業との就職ネットワークがあるので、将来性のある企業に就職しやすいでしょう。
ちなみに『職業情報提供サイト』を見ると、機械設計技術者の学歴としては、大卒は67.4%であり、そのなかでも半数程度が修士課程卒となっています。専門学校卒は10.9 %です。
エージェントを利用する
新卒で就職活動をする場合や転職をする場合には、就職・転職エージェントを利用するのがよいでしょう。
こういったエージェントは、これまでに多くの人の就職や転職をサポートしているので、機械エンジニア業界や企業についての情報を持っています。書類の書き方や面接対策などについてもノウハウを持っているので、より受かりやすくなるでしょう。
また、転職エージェント利用者は、非利用者と比べて転職時の年収アップ成功率が高いというデータもあります。
機械エンジニアへの就職・転職はベスキャリ機電で
機械系エンジニアの将来性について説明してきました。機械エンジニアは需要が大きく、将来にも必要とされる仕事です。ぜひ機械系エンジニアを目指してみてください。
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