サイバー攻撃やデータの漏洩などにより、企業におけるセキュリティ対策の重要性は増しています。それに伴いセキュリティエンジニアの需要も大きくなっています。

セキュリティエンジニアに関心のある人も多いと思いますが、はたしてセキュリティエンジニアの仕事は楽しいのか、大変ではないのかなどが気になるという人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、セキュリティエンジニアの仕事内容を詳しく解説することで、セキュリティエンジニアが楽しいのかどうかを説明します。また、セキュリティエンジニアとしてキャリアを築くための方法、セキュリティエンジニアの大変なことについて解説します。

セキュリティエンジニアの仕事とは

セキュリティエンジニアの仕事とはどのようなものかを、仕事内容、近況、年収などの面から解説します。

セキュリティエンジニアの仕事内容

セキュリティエンジニアとは情報セキュリティに特化したエンジニアです。その仕事内容は多岐にわたり、企業のネットワークやシステムなどにおいて設計や構築、運用、監視を行い、データの漏洩やサイバー攻撃を防ぐこととなります。

セキュリティエンジニアの仕事内容は多岐にわたり、セキュリティ対策ネットワークやシステム、サーバーにおいてセキュリティに配慮した設計、構築するとともに、既存システムにおけるセキュリティの脆弱性を発見、対応します。不正アクセスを検知するシステムを設計、構築し、企業のシステムを監視するとともに、セキュリティインシデントが発生したときの対応なども行います。企業内での運用体制構築、ポリシー策定支援などを行う場合もあります。

セキュリティエンジニアは専門的な知見や経験から、企業のセキュリティリスクを減らすとともに、損害を抑えるのです。

セキュリティエンジニアの近況

近況を見ることで、現在の日本でセキュリティエンジニアがどれくらいいるのかや、その需要についても確認していきます。

グローバルセキュリティ人材調査2023年版」によると、日本のサイバーセキュリティ人材は前年比23.8%増の48万659人で、2022年から9万2,000人以上が増加しています。「人材需要も33.0%増の59万1000人に上り、依然として11万人が不足」という調査もあります。そして、このデータでは『日本のセキュリティ人材の充足度では、「大幅に不足」が32%、「やや不足」が48%、「十分にいる」が18%、「余剰がある」が2%』であったとされています。

このように人材が不足する背景としては企業のセキュリティ対策の遅れがあり、企業内のセキュリティ関連業務に従事する人へのアンケートでも、61.6%が「おおむね十分だが、改善の余地はある」、22.1%が「十分ではないが、対策を講じることができていない」と回答しています。

現在においてはセキュリティエンジニアの人材は不足しており、需要も大きいことがわかります。

セキュリティエンジニアの年収

セキュリティエンジニアは、どれくらいの年収を得られるのでしょうか。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、セキュリティエンジニアの平均年収は558.3万円となっています。

国税庁のデータによると令和5年の日本の平均給与は460万円となっているので、セキュリティエンジニアの年収は日本のなかでも高いことがわかります。

また、「年齢別の年収グラフ」を見ると、20~24歳では327.74万円ですが、そこから年齢を経るごとに年収は上がっていき、45~49歳では695.97万円にまで至ります。キャリアを重ねれば、若くして高い年収が得られる仕事ということがわかるでしょう。

セキュリティエンジニアは楽しい?

セキュリティエンジニアの仕事に興味を持った人のなかには、その仕事内容が楽しいかどうかを知りたい人も多いと思います。そこでここではセキュリティエンジニアの仕事が楽しいのかを解説します。

仕事内容が面白い

セキュリティエンジニアの仕事内容は面白いことから、楽しいと感じる人も多いようです。

セキュリティエンジニアの仕事は、ネットワークやサーバー、システムなど幅広い対象において、セキュリティの脆弱性がないよう対策を行います。自身の知識とスキルを存分に発揮できますし、試行錯誤をしながら仕事ができるので面白みを感じられるでしょう。また、クラウドやIoTなどのようにITの世界は進化が早く、サイバー攻撃の手段も進化します。そういった新しい知識やスキルを学ぶというのも、仕事に対する刺激になるはずです。

未経験からエンジニアに転職した84%が「仕事内容が面白いと感じた」と回答し、「やりがいが大きいと感じた」と回答したのも82%を超えたという調査もあります。

また、セキュリティエンジニアとして働く女性のアンケ―トでは、「ロールモデルを持つ女性の7割以上が、仕事や組織への満足度が全体的に高い」という結果になっています。女性のみのデータではありますが、ロールモデルがあることでより仕事を楽しめるでしょう。

専門的な知識を活かせる

専門的な知識を活かせることも、セキュリティエンジニアの仕事が楽しいと考えられる理由です。

セキュリティエンジニアの仕事を行う上では、幅広い知識とスキルが求められます。OSやネットワーク、ファイアウォール、不正アクセスなどに関する知識、システム設計やマネジメント、脆弱性診断のスキルなど、セキュリティについての専門的な知識とスキルが必要なのです。こういった専門的な知識とスキルを学べ、それを活かすことができるというのは、エンジニアとしての探求心を満たすことができ、楽しさにつながるでしょう。

「国内セキュリティ業界で働く女性の実態」の調査結果では、働いた後のセキュリティ業界に対する印象として、「専門性を高められる」が31%で1位、「新しい知識やスキルを身につけられている」が25%で2位でした。このように、新しい知識やスキルを身につけられ、専門的な仕事ができるというのは大きな魅力といえるでしょう。

社会的意義が大きい

社会的意義が大きいことも、セキュリティエンジニアの仕事の楽しさにつながります。

サイバー攻撃などでは重要な情報や膨大な数の個人情報などが奪われますが、セキュリティエンジニアの仕事はこういった情報の漏洩を防ぐことで多くの人や企業に対して貢献ができます。ひと度情報が流出するとその損害ははかり知れないこともあり、セキュリティエンジニアの仕事は社会的意義が大きな仕事といえるでしょう。

このように社会的意義の大きな仕事ができるからこそやりがいを得られ、より楽しさを感じることができるでしょう。さらに、クライアント企業から信頼してもらえ、感謝の言葉をもらうことができるのも仕事の楽しさにつながるはずです。

収入が上がりやすい

年収が上がりやすいというのも、セキュリティエンジニアの仕事が楽しいといわれる理由のひとつです。自身の仕事の成果として得られる収入が上がることで、よりモチベーションが高まりますし仕事に楽しみを感じられるはずです。

IT職種の転職前後の平均年収レポートによると、転職前後の平均年収の増加幅ではセキュリティエンジニアが+67万円ともっとも大きく、1位に選ばれています。厚生労働省の職業情報提供サイトの年齢別の年収グラフでも、20歳からの年収の上昇幅がほかの職業よりも大きいです。

このように、セキュリティエンジニアは収入が上がりやすく、楽しみを感じやすいといえるでしょう。

セキュリティエンジニアは求められている

セキュリティエンジニアを求める企業が多いということも楽しさにつながる要素です。

サイバー攻撃の増加、IoTやクラウド、DXの推進などにより、セキュリティ対策の需要が大きく高まっています。それに伴い、セキュリティエンジニアのニーズも高まっているのです。需要が高まることでさまざまな企業で求人が増えますし、好条件で契約ができる可能性があります。また、自身の関心の高い分野の仕事を選べるので、楽しみながらキャリアを築けるでしょう。

2023年のサイバーセキュリティー関連の求人数が2014年当時と比べて24.3倍に増加したという記事もあり、セキュリティエンジニアの求人は今後も多い状態が期待できます。より好条件の仕事や自身の理想の仕事を得ることができるはずです。

チームで仕事ができる

チームで仕事ができることも、セキュリティエンジニアが楽しさを感じながら働ける理由です。チームのメンバーと協力をしながら働き、目的を達成することで自分ひとりで仕事をするよりも大きな喜びを感じられるはずです。

セキュリティ対策に必要な業務は広く、セキュリティエンジニアは基本的にチームで仕事をすることになります。メンバー同士でアイデアを出し合ったり、チームで分担・協力しながらセキュリティ対策を行っていきます。それによって、より効率的に仕事をすることができますし、モチベーションを高めるとともに、つながりを感じることができるでしょう。

また、最新のサイバー攻撃やセキュリティツール、対策方法などの情報も、チームメンバー同士で共有することで、より効率的に得ることができます。そういったものを話し合うことで楽しさも感じられるでしょう。

セキュリティエンジニアがキャリアアップのためにすべきこととは?

セキュリティエンジニアが楽しさを感じて仕事をするには、キャリアアップも大事です。同じ仕事や同じポジションで働き続けるよりもキャリアアップすることで、楽しさを感じながら働くことができるでしょう。

資格を取る

セキュリティエンジニアがキャリアアップするには、資格を取ることが有効です。

資格を取得することで、セキュリティエンジニアとしての専門性の高さと知識の深さを証明でき、昇進や転職などでも有利に働くでしょう。また、クライアントから信頼を得やすくなりプロジェクトがスムーズに進むはずです。

セキュリティエンジニアのキャリアに役立つ資格としては、情報セキュリティマネジメント試験やCCNA(シスコ技術者認定資格)、CompTIA PenTest+、さらには国家資格の情報処理安全確保支援士試験、ネットワークスペシャリスト試験、応用情報技術者試験などがあります。マネジメント関連の資格なども取得しておけば、管理職としてのキャリアを築く際に有効でしょう。

セキュリティエンジニアにおすすめの資格とは?国家資格、民間資格ともに紹介

新しい技術を身につける

セキュリティエンジニアは、新しい技術を身につけることでキャリアアップができますし、より楽しんで仕事をすることができるでしょう。

現在習得している以外のプログラミング言語を学んだり、セキュリティポリシーやルールの策定方法や教育ノウハウ、セキュリティ体制の築き方などを勉強したり、セキュリティ対策製品の情報を得たりするなど、新しい技術や知識を身につけることでよりキャリアの幅を広げることができるでしょう。

新しい技術を習得する過程でこれまで知らなかった知識を得られ、知的好奇心を刺激することができ楽しみを得られるはずです。

転職をする

転職をすることも、セキュリティエンジニアがキャリアアップする方法のひとつです。転職をすることで、年収や福利厚生などの条件がよい仕事に就ける可能性がありますし、より上流のポジションへ移ることなども可能です。

転職をすれば、これまでとは異なる分野のセキュリティに携わることができますし、刺激を得られるとともに、自身のスキルや知識を高めることができます。これまでとは異なる仕事に就くことができるので、新しい世界を見ることができ、楽しみにつながるでしょう。

セキュリティエンジニアは大変な面もある

ここまで、セキュリティエンジニアの楽しい面について解説してきましたが、セキュリティエンジニアには楽しさだけでなく大変な面もあります。

ストレスが大きい

セキュリティエンジニアの大変な面としては大きなストレスがかかるということが挙げられます。

セキュリティエンジニアの仕事は、機密情報や個人情報など重要な情報の保護です。しかし、もしサイバー攻撃などによりこれらの情報が漏洩してしまうと、その被害は多大なものになってしまいます。だからこそ、セキュリティエンジニアにかかる責任は大きくなります。このプレッシャーからセキュリティエンジニアは大きなストレスにさらされてしまうのです。

2020年のストレスレポートによれば、英国と米国の情報セキュリティの責任者であるCSOやCISOの88%が、強いストレスにさらされているそうです。さらに、CISOの48%が、ストレスがメンタルに悪影響を与えたと回答。これは2019年の27%から倍増しています。また、この31%が身体的健康にも影響を与えたというデータもあります。

CISOやCSOの平均在職期間はわずか2.2年となっており、大きなストレスが仕事の継続にも影響を与えることが伺えます。セキュリティエンジニアはストレスへの対処が重要といえるでしょう。

休日や夜間にインシデントが発生する可能性がある

休日や夜間にインシデントが発生する可能性があることも、セキュリティエンジニアの仕事が大変である理由です。

サイバー攻撃やデータ漏洩などのインシデントはいつ起こるかわかりません。こういった重大なインシデントが起きてしまうと、セキュリティエンジニアは休日や夜間でも対応しなくてはなりません。対応後も、原因の究明作業や報告義務があり、労働時間は長くなってしまう可能性があります。

システムエンジニアなどのようなセキュリティエンジニア以外の職種は決まった時間に働くことができますが、セキュリティエンジニアはインシデント時にはそのような安定はありません。こういった緊急対応はセキュリティエンジニアの大変な面でしょう。

組織から理解してもらいにくい

大変なこととして、セキュリティエンジニアの必要性や専門性が組織から理解されづらいということがあります。

企業内のセキュリティエンジニアなどの場合、セキュリティエンジニアが在籍する部署は直接的な利益を生み出さないことからコストセンターとみなされる可能性があります。投資の優先度が低くなり予算がもらえなかったり、システムの導入が遅れたりといったことがあります。

このような場合、セキュリティエンジニアはサイバー攻撃の危険性など社内の意識を変えるための周知や上層部の説得などが必要になる可能性もあります。このように、組織から理解してもらいにくいことで、仕事に支障が出たり、余計な作業を行わなくてはならない可能性があるのです。

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セキュリティエンジニアは大変な面もありますが、専門的な知識が活かせるとともに社会的意義が高い仕事であり、大きなやりがいや楽しさを感じられる仕事と言えます。今後も需要が高まることが予想されるので、興味のある人はぜひセキュリティエンジニアを目指してください。

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