これからフリーランスになろうかと考えているITエンジニアの人のなかには、後悔するのではないかと不安を持つ方もいるかもしれません。たしかに、フリーランスになるというのは会社に属さず個人で仕事を行うということであり、だからこそ様々なリスクがあります。
しかし、フリーランスには多くのメリットがあることも確かです。ここでは、フリーランスエンジニアで後悔している人の意見や後悔する理由を紹介するとともに、フリーランスのメリットや後悔しないための対策方法を解説します。
目次
フリーランスエンジニアで後悔している人はどれくらい?
フリーランスになったITエンジニアで、後悔している人というのはどれくらいいるのでしょうか。
会社員からフリーランスITエンジニアへ転身した人100名を対象にした調査では、フリーランスへ転身してみての満足度としては「とても満足している」「やや満足している」の合計は82%でした。そして、「あまり満足していない」「全く満足してない」は14%となっています。つまり、後悔していると考えられるのは14%程度と考えられます。
また、これはITエンジニアだけに限った調査ではありませんが、フリーランス協会の調査の「今の働き方に対する満足度」を見ると、不満と答えたのは10.2%となっています。
このようなデータを見ると、フリーランスになって後悔しているエンジニアは10~15%程度と考えられます。
フリーランスエンジニアが後悔する理由とは?
上で見たようにフリーランスになって後悔しているエンジニアは一定数いるようですが、どのような理由で後悔しているのでしょうか。
収入
フリーランスエンジニアが後悔する理由としては、まず収入が考えられます。収入が理想よりも少なかったり、収入が不安定であったりすると、多くのフリーランスエンジニアは後悔してしまうでしょう。フリーランス協会の調査を見ても、不満の割合が高いのは「収入」の項目であり、42.4%となっています。
フリーランスエンジニア約1,000名を対象にしたアンケートでは、フリーランスエンジニアになって収入が下がったのは25.34%となっています。フリーランスになることで収入が下がる人も一定割合いることがわかります。フリーランスになったのに以前よりも下がった、もしくは期待していたよりも少ない人は後悔するのでしょう。
ただし、フリーランス協会の調査では収入に満足している人も32.4%おり、満足のいく金額を稼げている人も多いようです。
社会的地位
社会的地位も、フリーランスエンジニアが後悔する項目のひとつです。フリーランス協会の調査を見ると、28.5%が社会的地位に不満をいだいているようです。
社会的地位とは社会的な信用のことであり、フリーランスはこれが低いことで住宅ローンやクレジットカードの審査に落ちてしまう可能性があります。フリーランスは収入に波があることや、日本の金融機関では与信において終身雇用を前提として勤務先が重要視されることが原因で、フリーランスの信用は低いと判定されてしまうのです。
個人事業主向けの法人カードを作る、支払い遅滞を防ぐ、貯蓄をしておく、などがおすすめです。
事務作業
事務作業もフリーランスエンジニアが後悔しがちなポイントです。こちらのアンケートでも、25%の人が「労務や確定申告などの事務作業の手間がかかる」を不満な点として挙げています。
会社員のときには、経理や庶務、確定申告、バックオフィスの作業などは、担当者が行ってくれていたかもしれません。フリーランスになると、こういった作業を自分で行わなくてはならなくなります。
フリーランスでは、業務のほかにもこういった細々とした作業を行わなくてはならず、事務作業が苦手な人にとっては大きなストレスになり、後悔してしまうかもしれません。自身が事務作業に抵抗がないかは確認しておきましょう。
人脈
フリーランスエンジニアが後悔するポイントとして、人脈も挙げられます。「フリーランス白書2023」でも、「多様性に富んだ人脈形成」は3番目に多い24.0%が不満を持っているとされています。
会社員であれば、同僚や上長、他部署や他社の人間との関わりがあります。仕事をするなかで様々な人と知り合うことができ、人脈を形成することができるでしょう。しかし、フリーランスエンジニアは、会社に属さないので人脈の形成機会が減ってしまうのです。
幅広い人脈があれば、ビジネスのチャンスにつながる可能性がありますし、転職やキャリアアップに役立つ可能性があります。また、社外の人と繋がることで視野も広がるでしょう。フリーランスエンジニアでも人脈を築きたい人は、機会が減ることを理解しておき、自分から積極的に人脈を形成する努力が必要かもしれません。
フリーランスエンジニアをやめておいたほうがいい人
フリーランスエンジニアになると後悔してしまう人がいることは確かではあります。では、どのような人が後悔してしまうのでしょうか。ここでは、フリーランスになるのをやめておいたほうがよいエンジニアの特徴を説明します。
特徴 | 理由 |
---|---|
スキルや経験が不十分だと感じる人 | 十分なスキルや実績がないと、収益が稼げなかったり収入が安定しなかったりして後悔する可能性があります。 |
営業が苦手な人 | フリーランスで働くためには、自身で仕事を得なくてはなりません。営業やプレゼンなどで自分の魅力を伝えることができないと仕事が得られないということになってしまいます。 |
ひとりでの行動が苦手な人 | フリーランスは会社に属さないので自分ひとりですべてを決めて行動しなくてはなりません。1人での行動に不安や孤独をすぐに感じる人は向いていないかもしれません。 |
現職の年収や福利厚生が充実している人 | 大手企業や年収の高い企業、福利厚生が充実している企業に勤めている人は、フリーランスになると収入が下がったり、福利厚生面が減ることで不満を持つ可能性があります。 |
自己管理が苦手な人 | フリーランスはいつどれくらい働くかというのは自由である代わりに、自己管理が甘いとさぼりがちになってしまったり、生活リズムが崩れてしまったりということになります。 |
家を買う予定のある人 | 家を買うには住宅ローンの与信審査に通らなくてはなりません。会社員の時期に住宅ローンに通ってからフリーランスになるのがよいでしょう。 |
フリーランスエンジニアが後悔しないための方法
ITエンジニアがフリーランスになって後悔しないためにはどうすればいいのでしょうか。
市場価値を高める
フリーランスになったけど仕事が取れない、収入が得られないと後悔しないためにも、自身の市場価値を高める必要があります。
スキルが低かったり、需要に合わなかったりするような市場価値の低いエンジニアには企業は依頼をしない可能性があります。たとえ仕事が得られたとしても単価が低くなりますし、他のエンジニアと価格競争をしなくてはならない可能性があります。それによって十分な収入が得られなかったり、収入が安定しなかったりという結果になるでしょう。
エンジニアへの調査で、「不安を感じることはなかった」人に「不安に対し、どのような対処法を取りましたか」という質問をした結果、「スキルや専門知識を向上させ、自身の市場価値を高めた」人が27.3%でした。希少性が高く、ニーズが高いスキルや知識を身につけることで、市場価値を高めることができ、仕事を獲得しやすくなるでしょう。
仕事仲介会社を利用する
フリーランスエンジニアとして仕事を獲得していく上で、案件紹介サイトやエージェントなどを利用することも、仕事が得られなくて後悔するのを避ける方法です。
会社員からフリーランスになったときには、まず仕事を得る方法に悩むかもしれません。飛び込み営業やテレアポなどをエンジニアがいきなり行うのは難しいでしょう。そこでエンジニアの仕事獲得におすすめなのは、案件紹介サイトやフリーランス向けのエージェントなどです。こういったサービスは多くのエンジニア案件の情報を持っており、派遣契約や請負契約など、様々な形態のなかから自身に合った求人を見つけることができます。
フリーランスになったら、自身に合いそうな案件紹介サービスに登録をし、案件を紹介してもらえるチャネルを作っておきましょう。特に、他のエンジニアが知らないサービスなどに登録しておくことで、より仕事を得られるでしょう。
営業力を高める
営業力を高めることも、フリーランスエンジニアが後悔を避けるための方法です。
フリーランスになった後には自分で仕事を得なくてはなりません。会社員時代には営業担当者がいるのでITエンジニアは営業をせずに済みましたが、フリーランスとなったら自分で営業をしなくてはなりません。フリーランスになる前に営業ノウハウを身につけておけば、仕事を得られなくて後悔することを避けられるでしょう。
フリーランス向けのエージェントなどの仲介サービスを利用すれば営業活動は必要ありませんが、顧客に対してプレゼンや交渉を行う必要はあります。その場合も、顧客に魅力的に思ってもらうためのプレゼン力、営業力を身につけておいたほうがよいです。
現に、フリーランス協会の資料でも、自分を売る力=セルフブランディングを行うことが、「現在の働き方を続ける/成功させる上で重要な能力・資質」がもっとも必要とされています。
家計の収支バランスを見直す
家計の収支バランスを見直すということも、エンジニアが後悔しないためにはよいかもしれません。
上の調査で「不安に対し、どのような対処法を取りましたか」という質問に対して、「家計の収支バランスを見直した」が26.1%でした。フリーランスは収入が不安定という心配がありますが、家計の収支バランスを見直すことで不安を減らすことができますし、生活ができなくなるというような事態を避けることができます。
家計において食費などの生活費、家賃などの固定費を見直すことで、支出を抑えるとともに、貯蓄などを行っておくのがよいでしょう。
やり遂げる力を身につける
「やり遂げる力」を身につけておくことも、フリーランスエンジニアが後悔しないためには重要です。
会社員の時には責任は会社が取ってくれたので、ミスがあったり業務で詰まった場合なども助けてもらえましたが、フリーランスになると自らの責任のもと仕事を行わなくてはなりません。わからないことがあったとしても自分で解決しなくてはなりませんし、ミスがあった場合には自分で修正しなくてはなりません。そして、プロジェクトをしっかりと終わらせなくてはならないのです。
仕事を完遂するための能力と、どんなトラブルにも対応するための幅広い経験が必要です。
フリーランスエンジニアのメリット
フリーランスになって後悔する人というのは確かにいますが、逆にフリーランスエンジニアには様々なメリットがあります。ここでは、フリーランスのメリットを紹介するので、フリーランスエンジニアになろうか迷っている人は参考にしてください。
就業環境
フリーランスエンジニアは就業環境に大きなメリットがあります。フリーランスになると、自由な時間と場所で働くことができます。現に、フリーランス白書によれば、78.7%の人が「就業環境(働く時間/場所など)」に満足しています。
ITエンジニアはパソコンとインターネットさえあれば仕事ができるので、家や出先、海外などでも仕事をすることができます。また、会社のように就業時間が決められているわけではないので、縛られることなく好きな時間に仕事を行うことができるでしょう。
会社に出社し働くことにストレスを感じる人、複数拠点で暮らしたい人、家庭の事情で会社に通って仕事ができない人などはメリットを感じられるはずです。
人間関係
フリーランスでは、余計な人間関係はありません。会社員の場合、職場や会議、飲み会などで同僚や上長などと頻繁にコミュニケーションを取らなくてはなりません。会社によっては、社内営業なども必要になりますし、人間関係のトラブルに巻き込まれることもあるでしょう。
フリーランスの場合、こういったストレスの元となる人間関係がなくなります。もちろん、仕事によってはチームで仕事をすることになりますし、取引先とはコミュニケーションを取らなくてはなりませんが、会社員のように頻繁にコミュニケーションを取る必要はない場合が多いです。
現職で人間関係に悩んでいる場合や大きなストレスを抱えている場合には、フリーランスのほうがよいかもしれません。
達成感・充実感
達成感や充実感というのも、フリーランスエンジニアになることのメリットといえます。フリーランス白書を見ても、約8割のフリーランスが満足しているという結果になっています。
フリーランスエンジニアの場合には、自分の裁量で仕事をすることになります。そのため、自分の得意分野で仕事ができますし、成果が目に見えます。顧客からの反応もダイレクトに感じることができるでしょう。
また、報酬に関しても、会社員の場合にはいくら働いても給与は変わらないですが、フリーランスの場合には自分が働いた分が支払われるので、より達成感を得られるでしょう。
プライベートとの両立
プライベートと仕事の両立が図れるというのも、フリーランスエンジニアのメリットです。
会社員の場合、自由に仕事を休むことはできませんが、フリーランスであればいつでも休みを取ることができます。その分、趣味の時間や家族との時間を多く取ることができるでしょう。
また、出社をしなくてはならない会社の場合には、通勤と帰宅のための時間がかかります。フリーランスであれば、そういった移動の時間がないので、より時間を有効活用できます。
フリーランスエンジニアはベスキャリITで
ここまでフリーランスエンジニアが後悔する理由やメリットについて述べてきましたが、フリーランスエンジニアには多くのメリットがあることがわかると思います。フリーランスになるか迷っている人は、後悔することがないように入念に準備をした上で、フリーランスエンジニアになることを目指していただければと思います。
ベスキャリITでは、フリーランスエンジニアの案件を多く掲載しています。15年以上の運営歴があることから豊富なネットワークがあり、10,000件以上の案件を常時保有しています。
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