建設エンジニアは、人材が不足しているといわれています。日本建設業連合会の建設投資の推移のデータを見ると、建設投資は近年徐々に増えています。また、建設業の2024年問題もあり、人材への需要が高まっています。

建設エンジニアは、建築物の設計やデザインに携わるだけでなく、安全に工事を進め、建築物の品質を保つためには欠かせない仕事です。建築のなかで大きな役割を担うことから、建設エンジニアに興味があるという人も多いでしょう。

しかし、建設エンジニアがどのような仕事をするのか、年収や将来性をイメージできないという人も多いのではないでしょうか。そこでここでは、建設エンジニアの具体的な仕事内容や職種、年収などを詳しく解説します。

建設エンジニアとは

建設エンジニアとは、建設工事や土木工事の企画、設計、施工管理、監理、完成、施工後の保守管理など、建設プロジェクトにおけるさまざまな役割を担うエンジニアをまとめた名称です。

建設エンジニアには、建築に必要な技術や資材を開発する技術開発エンジニア、橋や道路の設計を行う土木設計エンジニア、商業施設や住宅などの設計を行う建築士、現場での施工工事の管理を行う施工管理技士、測量や積算を行う技術者、設計図や施工図を書き起こすCADオペレーター、プラントの設計や設備保全、メンテナンスを行うプラントエンジニアなどがいます。

建設エンジニアは、プロジェクトにおいて重要な役割を担っており、各分野で専門的な知識や技術が求められます。

ここでは建設に関するエンジニアについて解説しますが、エンジニア一般については以下の記事でまとめています。

エンジニアとは?メリット、必要な知識・スキル、適性を解説!

建設エンジニアの職種と仕事内容

建設エンジニアは職種ごとに仕事内容が異なるので、主な職種と仕事内容について解説します。

開発

開発とは、建築計画や工事計画について技術的な側面から検証するとともに、工事で使用する部材や工法を開発する職種です。

開発のポジションでは、建設予定地や候補地の地質や周辺環境の調査を行い、建築計画が実行可能かを検討します。さらに、建設プロジェクトを実現するための工法や建材の開発・研究も行います。

工法や建材の開発においては、耐久性能や耐震性などの計算を行うためにも、エンジニアリングの知識が必要です。

設計

設計は、建築物の外観や構造、設備などの設計を行う職種です。

顧客の意向や建築物の目的を達成するためにデザインや構造、機能、設備などを考え、設計を行います。強度や耐震性の計算を行いながら、最適な構造や建具を設計・製図するとともに、電気やインターネットなどのインフラ設備に関しても設計を行います。

建築の際に設計通りになされているかの確認や、建築基準法などの各種法手続きなども行います。

測量

測量は、建築を行う土地の形や広さ、位置などについて正確に計測する仕事です。

現地に出向き専門の機器や技術で測量を行い、測量によって得られたそのデータをもとに、工事の基礎となる測量図を作成します。ドローンや人工衛星、高精度の測量機器などを使って測量することも多く、最新の技術やソフトウェアに関する知識も要求される仕事です。

測量を行うためには、測量についての知識と測量技術が求められ、「測量士」または「測量士補」の資格が必要です。

積算

積算とは、建設工事にかかる費用を算出する仕事です。設計図や仕様書から必要な資材の数量や種類、人員などを洗い出し、コストを正確に計算します。

大規模工事の場合には工事は長期にわたりますし、多くの企業や作業員が関わるとともに使用する部材も大量になります。全体のコストを明確にすることで、建設計画における利益が把握できますし、コストが予算を超えている場合に設計を見直すことができます。また、為替の変化や国際情勢によって経常利益が大きく変わってくるので、長期的な建設コストを明確にするためにも積算の仕事は重要です。

積算では、設計図の読み方や資材の相場、工事の種類や施工方法などに関する知識、計算能力などが必要です。

監理

監理とは、建設工事の監理監督を行い、施工管理を行う仕事です。

工事をどのように行うかのマネジメントを行うとともに、設計図や仕様書のとおりに工事が進められているかを確認します。建築主の要望などを聞き、現場において取り入れられるかを協議するなどの仕事も行います。

監理は、設計図を読み解きチェックする能力が必要となりますし、工事の流れや詳細を理解しておく力が求められます。

プラントエンジニア

プラントエンジニアとは、あらゆる製品を作る工場やエネルギー関連施設、ごみ処理場や水処理場などを含む大規模工場プラントの企画や設計、資材調達、システム設計、施工管理、保守管理などを行う職種です。これらのプラント建設に関わる業務に関して、プロジェクトマネジメントなど上流の仕事を行います。

プラントの建設は、一般的なマンションやビルなどの建築物よりも規模が大きく、構造も複雑な設備である分、それぞれの分野で土木、電気、化学、機械など専門性の高い知識が求められます。

CADオペレーター

CADオペレーターは、設計士が作成した設計図をもとに、CADを用いて2Dや3Dなどのデータに落とし込む職種です。

CADを利用することで、より精密で正確な設計図を作ることができ、完成した建築物を具体的にイメージできるようになります。

CADオペレーターには、CADソフトの使用方法はもちろんのこと、建築基準に沿わない製図を行わないために建築法の理解が必要ですし、欠陥のない設計図にするために建築法や建築技術についての知識なども必要です。

建設エンジニアの給与・年収は?

建設エンジニアの給与はどれくらいなのでしょうか。建設エンジニアの給与・年収は職種によって異なります。ここでは、厚生労働省の「職業情報提供サイトjobtag」をもとに、建築設計技術者、土木設計技術者、プラント設計技術者を例として紹介します。このサイトによるとそれぞれの平均年収は以下となっています。

建築設計技術者 620.4万円
土木設計技術者 573.2万円
プラント設計技術者 606.2万円

このように、建設に関わるエンジニアの職種は年収が高い傾向にあります。国税庁による「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本全国の勤労者の平均年収は458万円であり、これと比較しても高年収であることがわかります。

建設エンジニアに必要な知識・能力とは

建設エンジニアになりたい場合には、どのような知識や能力が必要なのでしょうか。建設エンジニアに必要な知識や能力は職種によって異なりますが、ここでは以下の4つを紹介します。

専門知識

建設エンジニアには様々な職種がありますが、それぞれの職種ごとに専門的な知識が必要になります。設計であれば力学や構造設計などの専門知識が必要になりますし、プラントエンジニアであれば電力システムなどの知識が必要でしょう。

また、建設を行う際には建築物の品質と安全を確保しなくてはなりません。そのための、構造設計や耐震、構造材料の特性と品質についての専門的な知識が必要となります。

建設に関する一連のプロセスのなかで仕事をすることになるので、スムーズに業務を進めるためにも、構造設計や建築基準法など、建設にかかわる一定の知識を知っておく必要があります。

情報収集力

建設エンジニアには情報収集力も求められます。

建設分野では、新しい技術が開発されており、新たな工法や素材なども生まれています。こういった技術を活用することで、革新的なサービスを提供できる可能性がありますし、人手不足解消やコスト削減なども実現できるでしょう。

例えば、AIを利用した検査システムやIoTを活用したセンサー技術、ドローンを活用したデータ収集など、これまでになかったシステムが生み出されています。建設エンジニアには、こういった最新技術や業界のトレンドに関する情報収集力が求められます。

プロジェクトマネジメント能力

建設エンジニアには、プロジェクトマネジメント能力が求められます。

建設プロジェクトにおいては、多くの工程や複雑な工程を進めていくことになります。自身の担当する工程を計画通りに進めるために現場での指示や調整を行う必要がありますし、材料の調達性や量産性の有無について判断するとともに、スケジュールやコストを監理・調整することも必要になります。

他にも、効率よくプロジェクトを進めるために、全体を把握して他部門と調整する能力も重要になってきます。

プロジェクトマネジメント能力は、大規模な工事を行う建設エンジニアにとって重要な能力となります。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは、建設エンジニアにとって大事な能力です。

建設エンジニアは、クライアントや社外の関係者など多くの人とコミュニケーションを取ることが求められます。クライアントの要望を聞き出し、社内の関係者と合意形成をしながら進めていかなくてはなりません。また、社外の部材業者や工事業者などといった企業とも連携を取りながら進めていかなくてはなりません。

建設エンジニアは、このように円滑にコミュニケーションを行うスキルを身につけなくてはならないのです。

建設エンジニアの就職に有利な資格

建設エンジニアでは、職種ごとに就職に有利になる資格があります。ここでは大きく建築関連のエンジニア、土木関連のエンジニア、プラントエンジニアの3職種に分けて、持っていると就職に有利になる代表的な資格を紹介します。

建築関連の資格

建築関連のエンジニアでは、以下のような資格が有効です。

  • 技術士
  • 建築士
  • 建築設備士
  • 建築施工管理技士
  • CAD利用技術者
  • 電気工事施工管理技士

建築関係のエンジニアにおいては、建築物の設計や工事、施工管理を行わなくてはならないので、その技術や知識を証明する資格を取得することで就職が有利になる傾向があります。

建築に関する専門的な知識を証明できる技術士や建築士、建築設備に関する知識と技能を証明できる建築設備士などは、設計を行うエンジニアになるなら取っておいたほうがよいでしょう。

また、建築施工管理技士や電気工事施工管理技士は、施工管理の仕事をしたい場合に必要です。

土木関連の資格

土木関連のエンジニアの業務においては、以下のような資格が有効です。

  • 土木施工管理技士
  • 建設機械施工技士
  • 舗装工事管理技術者
  • 測量士
  • 地質調査技士
  • CAD利用技術者試験
  • コンクリート診断士
  • コンクリート技士

土木工事において現場監督をするのに土木施工管理技士が必要ですし、建設機械を用いた施工において責任者となるには建設機械施工技士が必要です。建設前の土地の調査などを行う部門では、測量士や地質調査技士などがあると評価されるでしょう。

また、コンクリートを使用した工事においては、コンクリート診断士やコンクリート技士などの資格が有効になります。

プラントエンジニアの資格

プラントエンジニアは必須の資格はないですが、大規模な工事が多く専門的な知識が求められる職業だからこそ、以下のような資格が有効になるでしょう。

  • 技術士
  • 計装士
  • ボイラー技士
  • 一級建築士
  • 建築施工管理技士
  • 危険物取扱者(甲種)
  • 高圧ガス製造保安責任者
  • 電気主任技術者
  • エネルギー管理士

プラントエンジニアでは、ボイラー技士、危険物取扱者、高圧ガス製造保安責任者、高圧ガス製造保安責任者、電気主任技術者、エネルギー管理士などのような、工場を構成するための設備に関する知識が有効となります。

また、大規模設備だからこそ、技術士や一級建築士など高度な技術や知識を備えていることを証明するのも重要です。

建設エンジニアの就職・転職サービスの選び方

建設エンジニアに就職や転職する場合、エージェントや転職支援サービスを利用することになりますが注意が必要です。ここでは、就職・転職サービスの選び方をご紹介します。

建設業界に特化しているか

建設エンジニアの就職・転職支援サービスを選ぶ際には、建設業界に特化したサービスであるかどうかを確認しましょう。

建設エンジニアというのは、建設エンジニアは職種ごとに細かく分かれていますし、ほかの業界のエンジニアとは必要な知識が異なります。建設業界に特化していない場合、様々な職種の求人をひとまとめに扱っていたり、スタッフが建設業界に詳しくなかったり、必要なスキルなどを把握できていない可能性があります。また、建設業界の求人数が少ない可能性があります。

建設業界に特化したサービスであれば、あらゆる情報を長年蓄積しているので、それぞれの職種への合格に必要な知識やスキルを把握していますし、自分のキャリアに合った企業を紹介してくれます。社風や業界での評判などについての情報も持っているので、入社したあとのギャップを防ぐこともできるでしょう。

専任アドバイザーがいるか

専任アドバイザーがいるかどうかも、建設エンジニアの就職や転職サービスを選ぶときに重要なポイントです。

建設業界というのは、求められる知識や技能というのが専門的でありますし、多くの職種があります。そういった業界では、自身の目指すキャリアの実現のためにどのような企業や職種を選べばよいかわからない場合も多いと思います。

専任アドバイザーがついてくれるサービスであれば、自分の望みを詳細まで伝えられますし、自分に合った求人を迅速に紹介してもらえます。また、面接や職務経歴書などについてもアドバイスをしてもらえるのもメリットといえます。

研修を行っているか

建設エンジニアの就職・転職サービスを選ぶときには、研修を行っているかを確認しましょう。

建設エンジニアの転職支援サービスのなかには、就業先から給与をもらいながら研修を受けられるサービスを行っている企業があります。こういった研修では、建設業界の基礎知識や、工事の依頼から発注までの流れ、施工管理の仕事、図面の読み方、CADの使い方などを教えてくれるので、未経験者や他業界からの転職でも安心です。

こういった研修があるサービスを利用することで、就業後に戸惑ってしまうことを避けられるでしょう。

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建設エンジニアは今後も需要の大きい仕事ですし、その専門性の高さから高い給与も期待できる仕事です。建設エンジニアへの就職や転職を考えている人は、ぜひベスキャリ建設をご利用ください。

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